法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 下線部①の適法性 1 まず、乙は同日午後6時時頃に起きたひったくり事件の犯人と身体的特徴が類似しており、「何らかの犯罪を犯し」ていると「疑うに足りる相当な理由」があるといえ、下線部①の声をかける行為は、警察官職務執行法(以下「警職法」…

抵当権の物上代位と第三者の競合の手筋

1.304条1項但し書(「払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」)の趣旨 (1)判例-最高裁平成10年1月30日第2小法廷判決- 「右債権の債務者(以下「第三債務者」という。)は、右債権の債権者である抵当不動産の所有者(以下「抵当権設定者」とい…

抵当権の物上代位(民法372条・304条本文)の目的物の手筋

1.賃料債権に対する物上代位の可否-最高裁平成元年1月30日第二小法廷判決- 【結論】 肯定。 【理由】 (1)372条の準用する304条1項本文には「賃料」と規定されている。 (2)賃料債権に対する物上代位を認めても、抵当権設定者の使用収益権を自体を妨げることに…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 ZがAの上着の内ポケットから名刺入れをすり取り、自分のかばんに入れた行為に、窃盗罪(235条)が成立しないか。 (1) 名刺入れはAたる「他人の財物』にあたる。 (2) 本件行為が「窃取」あたるか。 ア 「窃取」とは、占有者の意思に反…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑法 解答例

解答例 1 甲がAをワインボトルで殴って死亡させた行為に、傷害致死罪(205条)が成立しないか。 (1) 甲はAという「人」の後頭部という致命傷になり得る部位を、ワインボトルという重くて硬い凶器で振り下ろして殴っているところ、重力及び遠心力も加わりかな…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 刑法 解答例

解答例 第1 丙の罪責 1 丙がVに対し、殺意を持ってA宅に放置し殺した行為に殺人罪(199条)が成立するか。 (1) 丙の上記行為に殺人罪の実行行為性が認められるか。丙の上記行為は行為者に期待された行為をしないいわゆる不作為であるところ、不作為に実行行…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 刑法 解答例

解答例 第1 Yの罪責 1 YがXと共謀の上、Aに暴行を加え、バッグからAの財布を持ち出した行為に、強盗罪の共同正犯(60条、236条)が成立するか。 (1) 共同正犯の客観的構成要件を充足するか。 ア 60条の一部実行全部責任の処罰根拠は、各犯罪者が共同してそ…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 刑法 解答例

解答例 1 甲が売店から新聞を手に取りそのまま売店から遠ざかった行為に窃盗罪(235条)が成立する。 (1) 新聞は売店たる「他人の財物」にあたる。 (2) 「窃取」とは、占有者の意思に反して、他人の財物を自己または第三者の占有に移転する行為をいうところ…

民法193条・194条の手筋-最判平成12年6月27日-

1.最高裁判決平成12年6月27日 (1)事案(簡易版) XはAに本件機械を窃取された。Aは本件機械をYに対して300万円で売却した(なお、Yは本件機械がA所有でないことにつき善意無過失だった。)。Xは本件機械窃取後2年以内の某日、Yに対し①所有権に基づく本件機械…

契約締結上の過失 -最判平成23年4月22日-

1.最高裁第2小法廷判決平成23年4月22日 ・事案(簡易版) 被告Y(信用協同組合)は、債務超過の状態にあり、それを認識していたにもかかわらず、そのことを説明しないまま原告Xに対し出資の勧誘を行った。Xはこれに応じてYに対し500万円の出資を行った。その後…

同時審判申出共同訴訟の手筋

0.事例 1.制度趣旨 2.「法律上併存し得ない関係」 3.主観的予備的併合の可否 ※参考文献[1] 0.事例 事例1.【代理と無権代理事例】 Xは、代理人Zと甲土地の売買契約締結をしたとして、本人Yに対して売買契約に基づく履行請求をすると同時に、仮にZ…

【予備試験】 刑事実体法 簡易事例まとめ 【口述対策】

1.窃盗罪(235条) (1)占有の存否[1] (2)意思に反する占有移転 (3)不法領得の意思[8] (ⅰ)権利者排除意思[9] (ⅱ)利用処分意思 2.詐欺罪(246条) (1)クレジットカードの不正使用 (ⅰ)自己名義カードの不正使用 (ⅱ)他人名義カードの不正使用 (2)証明文書の…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題32 解答例

解答例 第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) XY「訴訟」が「係属中」に、ZはXY訴訟の目的たるXのYに対する貸金返還請求権を譲り受けているため、かかる「権利」を譲り受けたと主張して、参加承継の申し出をすることができる(49条)。 第2 設問2 1 前述の…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 第1に、後訴に前訴既判力が作用し、裁判所は拘束されないか。 (1) 既判力とは、確定された判決の主文に表された判断の通有性[1]をいう。その趣旨は紛争解決の一回的解決という制度的要請にあり、正当化根拠は手続保障充足に基づく自己…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所が、Xの申し立てよりも低い150万円の立退料と引き換えに当該建物明け渡しの認容判決をしたことが、処分権主義(246条)に反し、許されないのではないか。 2 処分権主義とは、訴訟の開始、審判対象の特定、訴訟の終了について当事…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 本件では、入院治療費について、裁判所は、Xが申し立てた100万円を超えて、150万円と認定しているところ、処分権主義(246条)に反するのではないか。 (1) そもそも、不法行為における訴訟物の範囲はどこまでか。入院治療費と慰謝料…

独立当事者参加の手筋 (1)-制度趣旨と立法の過誤-

0.事例 1.独立当事者参加の趣旨 2.参加人の不利益 3.40条準用の正当性 ※参考文献[1] 0.事例 【事例1】(対物訴訟事例) XがYに対し甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起したのに対し、甲土地の所有権を主張するZが、甲土地の所有権の確認を求め…