法律解釈の手筋

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『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題30 解答例

 

解答例

 

 

第1 設問1

 1 Xは本件訴訟の「当事者」にあたる。

 2 本件訴訟は、「訴訟」が「係属」している。

 3 Yは「第三者」であるが、「参加することができる」第三者にあたるか。本件では、補助参加(42条)の可否が問題となる。

 (1)  「訴訟の結果」について、判決主文に限定するとの考え方があるが、元々かかる考え方も訴訟物に限定していなかったと考えられる。また、補助参加人は既判力に服するわけではないところ、判決主文と理由中の判断を区別する根拠はない。そこで、「訴訟の結果」には、判決理由中の判断も含まれると考える。

また、民事訴訟は権利関係や法律上の地位など、法的な利益の保護を目的としているから「利害関係」とは法律上の利害関係に限られる。もっとも、共同訴訟参加(52条)との区別の観点から、法律上の利害関係に事実上の影響があれば足りる。

そこで、補助参加の利益が認められる場合とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上または公法上の法的地位または法的利益に事実上の影響を及ぼすおそれがある場合[1]をいうと考える。

 (2) 本件では、代理行為の有無という判決理由中の判断によって、参加人Yが別訴においてXから無権代理人の責任追及(民法117条1項)を受けるおそれがあるところ、XC訴訟の判決が、参加人Yの私法上の法的利益に事実上の影響を及ぼすおそれがある。以上にかんがみれば、YはXに補助参加して代理行為をしなかったことを主張し、Xを勝訴させる必要がある。

 (3) したがって、Yは本訴に「参加することができる」第三者にあたる。

 4 よって、XのYに対する訴訟告知は適法である。

第2 設問2

 1 YはCに対し補助参加することができるか。Cへの補助参加の利益が認められるか。前述の基準により判断する。

 2 本件では、代理権の存否という判決理由中の判断によって、参加人Yが別訴においてXから無権代理人の責任追及(民法117条1項)を受けるおそれがあるところ、XC訴訟の判決が、参加人Yの私法上の法的利益に事実上の影響を及ぼすおそれがある。以上にかんがみれば、YはCへ補助参加して有権代理を主張し、Cを勝訴させる必要がある。

 3 よって、Yは本訴のCへの補助参加の利益が認められる。以上より、YはCに対し補助参加することができる。なお、前述のとおり、YはXに対しても補助参加をすることができ、いわゆる争点毎の補助参加であるが、利害関係が本訴当事者と同一ではない以上、このような補助参加を認めるべきである。

第3 設問3[2]

 1 まず、訴訟告知の参加的効力(53条4項、46条)がYに生じるか。

 (1) 「参加することができた時」とは、42条の要件を充足すること、すなわち補助参加の利益が認められることを意味するところ、YはXに対して補助参加の利益があることは前述のとおりである。

 (2) この点、訴訟告知のみで参加的効力という強い効力を認めることに反対し、告知者と協力関係にある者のみに参加的効力が生じるとの見解がある。これは、告知者と協力関係にある者は補助参加する義務があることを根拠とするものであるが、協力関係にある場合になぜ補助参加する義務が生じるのか疑問がないではなく、この考えを推し進めると、もはや訴訟告知による参加的効力の生じる者は存在しないのではないかとも思える。また、主観的範囲で限定しなくとも、参加的効力の客観的範囲による限定によって妥当な結論が導けると思われ、かかる限定は必要でないと考える。

 2 次に、参加的効力によって、Yは代理権の存在を主張することは許されないか。

 (1) 参加的効力の趣旨は、共同戦線を張った者同士の間での敗訴責任の分担にある。そこで、参加的効力とは、既判力とは異なる制度的効力であると考える。具体的には、①被参加人敗訴の場合に②参加人と被参加人の間で②判決理由中の判断にも生じ(客観的範囲)③当事者の援用を要する。そして、判決理由中の判断とは、攻撃防御を尽くすことができた範囲、すなわち判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断など[3]に限定されると考える。

 (2) 本件では、Xが敗訴しており、Xから訴訟告知されたYとの間に参加的効力が生じる。もっとも、代理権の存在は前訴の判決理由中の判断である表見代理が成立するための主要事実ではなく、傍論にすぎない。代理の効果の発生については、代理権の存在と表見代理の成立は等価値の関係にあるからである[4]。したがって、代理権の不存在について参加的効力は生じない。

 (3) よって、Yは代理権の存在を主張することは許される。

以上

 

[1] 最判平成13年1月30日参照。

[2] 同様の問題として、平成24年度新司法試験設問2参照。

[3] 最判平成14年1月22日参照。