法律解釈の手筋

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『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題29 解答例

 

解答例

 

第1 設問1

 1 「訴訟の結果」について、判決主文に限定するとの考え方があるが、元々かかる考え方も訴訟物に限定していなかったと考えられる。また、補助参加人は既判力に服するわけではないところ、判決主文と理由中の判断を区別する根拠はない。そこで、「訴訟の結果」には、判決理由中の判断も含まれると考える。

また、民事訴訟は権利関係や法律上の地位など、法的な利益の保護を目的としているから「利害関係」とは法律上の利害関係に限られる。もっとも、共同訴訟参加(52条)との区別の観点から、法律上の利害関係に事実上の影響があれば足りる。

そこで、補助参加の利益が認められる場合とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上または公法上の法的地位または法的利益に事実上の影響を及ぼすおそれがある場合[1]をいうと考える。

 2 本件では、XがAから買い受けた本件名画が贋作であり、錯誤によって無効であるとの主張がなされている。もし仮に、本件名画が贋作であり錯誤であるとの主張が認められれば、AはXから追奪担保責任(民法570条)を受けるおそれがある。そうだとすれば、XY訴訟の結果Aの法的地位に事実上の不利益が及ぶおそれがあると考える。

 3 したがって、Aに補助参加の利益が認められる。

第2 設問2 小問1

 1 まず、控訴不可分の原則[2]により、Xの主位的請求及び予備的請求が控訴審に移審する。

 2 次に、予備的請求が控訴審の審判対象になるかが問題となるが、予備的請求については第1審判決が存在しないので原告も被告も予備的請求独自の控訴ができないことから、控訴審の審判対象に予備的請求も含まれると考える。

 3 したがって、控訴審は、原判決を破棄し、主位的請求について請求棄却、予備的請求について請求認容の判決をすべきである。

 4 なお、予備的請求については第一審裁判所によって判決がなされていないため、被告Yの審級の利益を害しないかが問題となるが、主位的請求と予備的請求の事実審理は通常大部分が共通するから、控訴審で判断してもYの審級の利益を害しないと考える[3]

第3 設問2 小問2

 1 まず、予備的請求については理由がないのであるから、原判決を破棄し、予備的請求を棄却すべきである。

 2 次に、主位的請求については、そもそも原告Xによる控訴または付帯控訴による不服申し立てがない限り、控訴審の審判対象にならない以上、控訴審裁判所は主位的請求を請求認容判決に変更することは不利益変更禁止原則(304条)に反し許されないと考える。

 (1) 上記見解に対して、主位的請求と予備的請求を分断するのは不自然であるし、予備 的請求で勝訴している原告に不服申立てを要求するのは無理な点があること、被告としては第一審で予備的請求について敗訴している以上、主位的請求の方で敗訴させられたとしても、不利益変更禁止にも反しないことから、裁判所は主位的請求について、原告の不服申立てがなくとも請求認容判決をすることができるとする見解がある。

 (2) もっとも、被告としては主位的請求に不服がないのであるから、かかる請求については審判対象にならないと考える。また、原告としても予備的請求で敗訴しそうであることが分かれば控訴審において附帯控訴をすることが可能である以上、原告に不服申立てを要求するのが無理とまではいえない。

    以上より、裁判所は主位的請求については何らの判決もすべきでない。

以上

 

[1] 最判平成13年1月30日参照。

[2] 控訴不可分の原則については、当然に認められるため、理由付けを答案に明示する必要性はないと思われる。なお、同書解説によれば、①控訴提起に際し控訴状には原裁判に対する不服の限度を表示することは要求されていないこと②口頭弁論終結に至るまで控訴人は不服申立ての範囲を拡張することができ、被控訴人も附帯控訴によって審判対象の拡張を求める不服申立てをすることができること③当事者双方に不服のない部分について、控訴裁判所は仮執行宣言を付することによって執行力が生じるとされていること、が控訴不可分の原則の根拠として挙げられている。

[3] 同書解説によればその他の理由として、①請求の予備的併合の趣旨からは、主位的請求を棄却する以上、予備的請求に理由があるか否かについて審判しなければならないこと②第一審判決において全面勝訴した原告Xは不服の利益を害しないので、控訴審において特別の申立ては必要ないと考えるべきこと、が挙げられている。