法律解釈の手筋

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慶應ロー入試 平成27年度(平成26年9月/平成27年4月入学) 憲法 解答例

解答例

1 スポンサー適正表示法(以下「法」という。)4条は、事業者のPPやPIといった営利的表現の自由を侵害し、憲法21条1項に反し違憲ではないか。

(1) PPやPIという手法はいわゆる営利的表現であるが、かかる表現に憲法21条1項の保障が及ぶか。

  ア 表現の自由とは、思想を外部に伝達する自由をいう。その趣旨は自己実現の価値及び自己統治の価値にある。

    そして営利的表現についても、自己の思想や価値観を、広告を通じて外部に伝達することで自己の人格的価値を高める点で自己実現の価値が認められる。また、国民の知る自由にも資する。

    そこで、営利的表現も健保21条1項の保障が及ぶ。

  イ 上記自由は営利的表現である。

  ウ したがって、憲法21条1項の保障が及ぶ。

(2) 上記自由は、法4条によって制約されている。

(3) それでは、上記自由は正当化されるか。

  ア 上記自由は、表現の自由ではあるが、営利的自由は民主政に資する社会的な価値はなく自己統治の価値がない。そのため、上記自由は表現の自由として保護されるとしても手厚く保護されるわけではない。また、本件規制は、営利的表現のうち、PPやPIといった方法を規制するものであるため、内容中立規制である。そのため、本件規制が恣意的抑制のおそれが少ないため、規制態様は弱い。

    そこで、①規制目的が重要で②規制手段として、同じように効果的に規制目的を促進できる手段が存在しないこと③十分な代替的伝達経路が開かれていない限り正当化されないと考える。

  イ 本件では、一般消費者による自律的かつ合理的な選択の保護にある(法1条)。かかる自律的決定権は憲法13条によっても保障されうるものであり、重要な利益の保護である(①充足)。

    PP・PIは、広告であることを隠して放送番組の中に登場させることで、消費者がかかる広告は中立的な第三者の発信であると誤認し、信頼性の高い情報として受け取るおそれが高い。PPの例では、司会者とコメンテーター(あるいはテレビ局側)が自ら選んだ飲料水であるかのように装うことで、第三者が数ある飲料水の中からA社の商品を選んだという誤認を消費者に与えるおそれが高い。PIの例では、Dテレビ局というC社とは無関係の第三者が、D社のオンライン・ゲームに着目してドラマを制作したと装うことで、Dテレビ局がC社のオンライン・ゲームを高く評価しているという誤認を消費者に与えるおそれが高い。このように「自らがスポンサーであることを表示せずに」行うことこそが消費者の自律的選択権を害する点で問題である以上、かかる点を規制しない限り規制目的は達成されない。そうだとすれば、PP・PIの手法そのものを全面的に禁止しなければ効果的に規制目的を達成し得ない(②充足)。

    また、自らがスポンサーであることを表示して行うことでも十分に広告としての効果は発揮できる以上、十分な代替伝達経路も確保されているといえる(③充足)。

  ウ したがって、本件規制は正当化される。

2 以上より、本件規制は憲法21条1項に反しない。

以上