法律解釈の手筋

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令和7年度(2025年度) 慶應ロー入試 刑事訴訟法 解答例

解答例

第1 設問1

伝聞証拠とは、①公判廷外供述を内容とする証拠で、②その内容の真実性が問題となる証拠をいう。なぜなら、伝聞法則の趣旨は、知覚・記憶・叙述表現の各過程に誤りが介在するおそれがあるにも関わらず、反対尋問等によってその内容の真実性を確保できないところ、誤判防止の観点から証拠能力を否定する点にある。

第2 設問2

実況見分調書全体は、五官の作用によって認識する検証調書に準じる書面であるため、「司法警察職員の検証の結果を記載した書面」に含まれる。

第3 設問3

1 本件実況見分調書(以下「本件調書」という。)全体について

(1) 伝聞証拠の意義は前記第1のとおりであるところ、伝聞証拠であるか否かは、要証事実との関係で決する。

(2) 本件では、Xが物理的に犯行が可能であったかどうかが1つの争点となっており、それを受けて、Pは立証趣旨を「本件犯行が可能であること」として実況見分調書の取調請求をしている。本件調書は、同立証趣旨との関係で意味を成すものであるから、要証事実は立証趣旨そのままであると考える。

(3) 本件調書は、本件調書から、本件調書記載どおりの事実があったことを推認することによって、上記要証事実を証明するものであるところ、その内容の真実性が当然に問題となる。

(4) したがって、前記第2記載のとおり、321条第3項が規定する要件を満たせば、伝聞法則の例外として証拠能力が認められる。続いて、本件調書中の記述について、伝聞証拠該当性及び伝聞例外の要件該当性を検討する。

2 実況見分調書中の記述について

(1) Lの説明部分

Lの説明部分は、実況見分時の状況を明らかにするものである。かかる説明部分は、

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