法律解釈の手筋

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令和6年度 予備試験 民法 解答例

解答例

第1 設問1(1)

1 Cの請求は、以下のとおり認められない。

2 Cには、乙土地の所有権が認められる。

(1) Aは、失踪宣告により、令和3年4月1日に死亡したものとみなされる(31条、30条2項)。

(2) 「相続させる」旨の遺言は、特定財産承継遺言(1014条2項)として相続分の指定となる(1046条1項括弧書参照)。乙土地について、本件遺言書によりAからCに「相続させる」旨の遺言がなされている。また、Aには乙土地以外見るべき財産はない。したがって、Cは、乙土地の全部について10割の相続分の指定を受けたといえ、乙土地の所有権を有する。

3 Dは、乙土地を占有している。

4 これに対して、Dから、Cの法定相続分を超えた乙土地所有権については対抗要件を具備するまで認めないとの反論が考えられ、以下のとおり認められる。

相続による権利の承継は、法定相続分(900条、901条)を超える部分については、対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができない。本件では、Dは、当事者及びその一般承継人以外の者であり、「第三者」にあたる。また、Aの推定相続人は子B及びCであり、Cの法定相続分は、2分の1となる(900条1号)。したがって、Cの乙土地に対する法定相続分は、2分の1であり、乙土地所有権は、相続分を超える。

5 以上より、Cの請求は認められない。

第2 設問1(2)

1 Aの請求は、以下のとおり認められる。

2 上記1のとおり、Aは失踪宣告により死亡とみなされている。しかし、令和5年6月24日、失踪宣告の取消しにより、Aは乙土地所有権を有する(32条1項前段、121条)。

3 これに対して、Fは、EはAが死亡していなかったことについて善意であるため、令和5年6月19日のBからEへの乙土地譲渡は有効であるところ(32条1項後段)、Aは乙土地所有権を喪失した、と反論することが考えられるが、

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