法律解釈の手筋

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令和6年度(2024年度) 京大ロー入試 民事訴訟法 解答例

解答例

第1 第1問

1 XYは、和解契約において、訴えを取り下げる旨の合意をしているところ、かかる訴え取下げ合意により、本件訴訟の訴えの利益が消滅し、裁判所は本件訴訟を却下しなければならないという影響を及ぼす。

2 訴えの取下げ合意の効果について、判例[1]によれば、訴え取下げ合意によって原告は権利保護の利益を喪失するため、訴えを却下すべきであるとしており、いわゆる私法契約説にたつとされる。被告において当事者間に訴え取下げ契約の存在が認められる場合には、裁判所としても真剣に原告の審判の要求を取り上げる必要はないため、権利利益の保護を喪失すると考える私法契約説が妥当である。そこで、訴えの取下げ合意が主張・立証された場合には、裁判所は、訴えの利益を欠くとして訴えを却下すべきである[2]

3 本問では、Yの訴え取下げ合意の主張が認められる場合である。

4 したがって、Yの主張は、本件訴訟の訴えの利益が消滅し、裁判所は本件訴訟を却下しなければならないという影響を及ぼす。

第2 第2問

1 裁判所としては、Xから、Yの主張に対して、①後遺障害が本件訴訟の口頭弁論終結後に発生したこと、及び、②後遺障害の発生を本件訴訟の口頭弁論終結前に予期することが困難であったことについて主張・立証がない場合には、Yの主張を認め、後訴について請求棄却判決をすべきである。Xから上記①及び②についての主張・立証があった場合には、後訴の審理をして、本案判決をすべきである。

2 原則として、本訴確定判決の既判力は後訴に作用する。

(1) 前訴確定判決が後訴に作用するかどうかは、前訴確定判決について生じる既判力と後訴訴訟物が同一・先決・矛盾のいずれかの関係にある場合か否かによって判断する。

ア 本訴確定判決の既判力は、

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