法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題46 「夜の帝王」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、殺害目的で、甲の両親の自宅に合い鍵を用いて入った行為に、住居侵入罪(刑法130条)が成立する。 (1) 甲は、甲の両親の子であるが、両親の自宅に住んでいるわけではないのでAの住建に属さず、「人の」「住居」にあたる。 (2) …

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題39 「渡る世間は金ばかり」 解答例

解答例 第1 乙の罪責 1 乙が、B信用金庫C支店職員をして、C支店の幸楽株式会社代表取締役甲名義の預金口座に1000万円を入金する処理を行わせた行為に背任罪(248条)が成立せず、何らの犯罪も成立しない。 (1) 乙は、C支店の支店長であり、支店長は5000万円…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題34 「金とカードと男と女」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲がATMから現金200万円を引き出した行為に、業務上横領罪(253条)が成立する。 (1) 現金200万円はA社が使途を限定した金銭であり、株式会社A代表取締役B名義の預金口座に預けられており甲の一般財産との混同が禁止されているところ…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題36 「一石三鳥」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲がAのパソコン(以下「本件パソコン」という。)を盗み出した行為に窃盗罪(235条)が成立する。 第2 乙の罪責 1 乙が、甲から預かった本件パソコンがAのデザイン事務所から盗み出したものだと認識した後も本件パソコンを保管していた…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題27 「欲深い売主」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が本件土不動産をBに売却した行為に、Aに対する横領罪(252条1項)が成立しない。 (1) まず、本件不動産はAという「他人の物」にあたる。 ア 「他人の物」とは他人が所有する財物[1]をいう。所有権の移転時期は売買契約締結時である…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題13 「一線を越えた男友達」 解答例

解答例 1 甲が、B店において、Aのクレジットカードを用いて、28万円のバッグを購入した行為に、B店に対する詐欺罪(246条1項)が成立する。 (1) 「人を欺」く行為とは、財物の主観性故に広がる処罰範囲限定の観点から、①財産交付の判断の基礎となる重要な事…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題5 「ピカソ盗取計画」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、A所有の倉庫の敷地内に侵入した行為に、建造物侵入罪(130条)が成立する。 (1) 敷地内も「建造物」に含まれる。 ア 建造物侵入罪の保護法益は建造物管理権者の管理権であるところ、建造物と一体である囲繞地についても、管理権…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題2 「D子は見ていた」 解答例

解答例 1 甲が、A所有の財布(以下「本件財布」という。)を持ち去った行為に占有離脱物横領罪(刑法254条(以下法名略。))が成立する。 (1) 本件財布はA所有の財布であり「他人の物」にあたる。 (2) 本件財布は、Bの6階ベンチに置き忘れており、A及びその他…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題9 「紫の炎」 解答例

解答例 1 甲がAらの住居に使用する集合住宅(以下「本件集合住宅」という。)の中に入った行為及び本件集合住宅の居住者用の屋外駐車場に立ち入った行為という一連の行為に邸宅侵入罪(130条)が成立する。 (1) 「邸宅」とは、居住用の建造物で住居以外のもの[…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題8 「トランク監禁の悲劇」 解答例

解答例 第1 甲がAの顔面を手拳で数回殴打した行為について 1 第1の行為について、甲に暴行罪が成立する。 2 乙は甲と第1の行為について意思連絡をしていないところ、共謀が認められず、暴行罪の共同正犯(208条、60条)は成立しない。また、乙には甲またはA…