法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… 

差押えと相殺の手筋-最高裁昭和45年6月24日大法廷判決-

1.最大判昭和45年6月24日 【事案(簡易版)】 XはAの国税債務滞納処分として昭和33年9月4日、A会社がY銀行に対して有していた預金債権を差押えた。これに対して、Y銀行は、9月4日時点でA会社に対して貸付債権を有しており、Y銀行とA会社の継続的取引約定書に…

東大ロー期末試験 上級刑事訴訟法 2018年度 再現答案

再現答案 第1 第1問 (以下、刑事訴訟法は法名略。) 1 Kらが公道上に設置されたごみ集積所に出したごみ袋を密かに回収し、中身を点検した行為について (1) 上記行為は、領置(221条)にあたり、「強制の処分」(197条1項但し書)にあたらないか。もし仮に上記行…

慶應ロー 入試過去問 平成30年度(平成29年9月/平成30年4月入学) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 問題1 (以下、刑事訴訟法は法名略。) 1 小問1について 被疑者段階において検察官の請求により勾留された者が、同一の犯罪事実で交流機関に起訴された場合には、起訴と同時にそれまでの被疑者勾留が被告人勾留に切り替わり、特別の手続なしに被告…

東大ロー期末試験 上級民事訴訟法 2018年度(松下淳一問) 再現答案

再現答案 第1 第1問(1) (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 ①について (1) 外側説とは、一部請求の場合に相殺の抗弁を認めるときに、一部請求額からではなく、その債権の総額を基準にして自働債権として認められた額を控除する考え方である。 かかる考え方は…

東大ロー期末試験 上級憲法 2018年度 再現答案

再現答案 第1 弁護士の主張 1 弁護士としては、XをA県迷惑防止条例(以下、「本条例」という。)15条1項で逮捕することは、Xの取材の自由を侵害し、憲法21条1項に反すると主張することが考えられる。具体的には、Xの行為の憲法上の意義がCの法益侵害の程度に…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題2 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所の本件判決は、弁論主義第1テーゼに反し許されないのではないか。 (1) 弁論主義とは、判決の基礎をなす事実の確定に必要な資料の収集、提出を当事者の権能かつ責任とする建前をいう。その趣旨は、私的自治の訴訟法的反映に基づく…

慶應ロー 入試過去問 平成29年度(平成28年9月/平成29年4月入学) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 (以下、刑事訴訟法は法名略。)[1] 1 現行犯逮捕(憲法33条、刑訴法213条・212条1項2項)は令状なくして逮捕できる。通常逮捕における令状主義の趣旨は、あらかじめ令状裁判官に逮捕の理由・必要性を審査させることにより、被疑者の人権を保…

慶應ロー 入試過去問 平成28年度(平成27年9月/平成28年4月入学) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 捜査① 1 本件捜査は「強制の処分」(強制処分)(197条1項但し書)にあたるか。もし強制処分にあたるのならば、強制処分法定主義若しくは令状主義(憲法33条、35条)に反する。そこで、強制処分の意義が問題となる。 (1) 現代の捜査技術の発達にかんが…

慶應ロー 入試過去問 平成27年度(平成26年9月/平成27年4月入学) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 下線部①の令状は、以下に見るように概括的記載が用いられており、令状の明示を要請した憲法35条、刑事訴訟法219条1項に反し許されないのではないか。 2 そもそも令状の特定が要求される趣旨は、あらかじめ捜査機関の恣意的権限行使…

慶應ロー 入試過去問 平成26年度(平成25年9月/平成26年4月入学) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 下線部①の適法性 1 まず、乙は同日午後6時時頃に起きたひったくり事件の犯人と身体的特徴が類似しており、「何らかの犯罪を犯し」ていると「疑うに足りる相当な理由」があるといえ、下線部①の声をかける行為は、警察官職務執行法(以下「警職法」…

抵当権の物上代位と第三者の競合の手筋

1.304条1項但し書(「払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」)の趣旨 (1)判例-最高裁平成10年1月30日第2小法廷判決- 「右債権の債務者(以下「第三債務者」という。)は、右債権の債権者である抵当不動産の所有者(以下「抵当権設定者」とい…

抵当権の物上代位(民法372条・304条本文)の目的物の手筋

1.賃料債権に対する物上代位の可否-最高裁平成元年1月30日第二小法廷判決- 【結論】 肯定。 【理由】 (1)372条の準用する304条1項本文には「賃料」と規定されている。 (2)賃料債権に対する物上代位を認めても、抵当権設定者の使用収益権を自体を妨げることに…

慶應ロー 入試過去問 平成30年度(平成29年9月/平成30年4月入学) 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 ZがAの上着の内ポケットから名刺入れをすり取り、自分のかばんに入れた行為に、窃盗罪(235条)が成立しないか。 (1) 名刺入れはAたる「他人の財物』にあたる。 (2) 本件行為が「窃取」あたるか。 ア 「窃取」とは、占有者の意思に反…

慶應ロー 入試過去問 平成29年度(平成28年9月/平成29年4月入学) 刑法 解答例

解答例 1 甲がAをワインボトルで殴って死亡させた行為に、傷害致死罪(205条)が成立しないか。 (1) 甲はAという「人」の後頭部という致命傷になり得る部位を、ワインボトルという重くて硬い凶器で振り下ろして殴っているところ、重力及び遠心力も加わりかな…

慶應ロー 入試過去問 平成28年度(平成27年9月/平成28年4月入学) 刑法 解答例

解答例 第1 丙の罪責 1 丙がVに対し、殺意を持ってA宅に放置し殺した行為に殺人罪(199条)が成立するか。 (1) 丙の上記行為に殺人罪の実行行為性が認められるか。丙の上記行為は行為者に期待された行為をしないいわゆる不作為であるところ、不作為に実行行…

慶應ロー 入試過去問 平成27年度(平成26年9月/平成27年4月入学) 刑法 解答例

解答例 第1 Yの罪責 1 YがXと共謀の上、Aに暴行を加え、バッグからAの財布を持ち出した行為に、強盗罪の共同正犯(60条、236条)が成立するか。 (1) 共同正犯の客観的構成要件を充足するか。 ア 60条の一部実行全部責任の処罰根拠は、各犯罪者が共同してそ…

慶應ロー 入試過去問 平成26年度(平成25年9月/平成26年4月入学) 刑法 解答例

解答例 1 甲が売店から新聞を手に取りそのまま売店から遠ざかった行為に窃盗罪(235条)が成立する。 (1) 新聞は売店たる「他人の財物」にあたる。 (2) 「窃取」とは、占有者の意思に反して、他人の財物を自己または第三者の占有に移転する行為をいうところ…

民法193条・194条の手筋-最判平成12年6月27日-

1.最高裁判決平成12年6月27日 (1)事案(簡易版) XはAに本件機械を窃取された。Aは本件機械をYに対して300万円で売却した(なお、Yは本件機械がA所有でないことにつき善意無過失だった。)。Xは本件機械窃取後2年以内の某日、Yに対し①所有権に基づく本件機械…

契約締結上の過失 -最判平成23年4月22日-

1.最高裁第2小法廷判決平成23年4月22日 ・事案(簡易版) 被告Y(信用協同組合)は、債務超過の状態にあり、それを認識していたにもかかわらず、そのことを説明しないまま原告Xに対し出資の勧誘を行った。Xはこれに応じてYに対し500万円の出資を行った。その後…

同時審判申出共同訴訟の手筋

0.事例 1.制度趣旨 2.「法律上併存し得ない関係」 3.主観的予備的併合の可否 ※参考文献[1] 0.事例 事例1.【代理と無権代理事例】 Xは、代理人Zと甲土地の売買契約締結をしたとして、本人Yに対して売買契約に基づく履行請求をすると同時に、仮にZ…

【予備試験】 刑事実体法 簡易事例まとめ 【口述対策】

1.窃盗罪(235条) (1)占有の存否[1] (2)意思に反する占有移転 (3)不法領得の意思[8] (ⅰ)権利者排除意思[9] (ⅱ)利用処分意思 2.詐欺罪(246条) (1)クレジットカードの不正使用 (ⅰ)自己名義カードの不正使用 (ⅱ)他人名義カードの不正使用 (2)証明文書の…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題32 解答例

解答例 第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) XY「訴訟」が「係属中」に、ZはXY訴訟の目的たるXのYに対する貸金返還請求権を譲り受けているため、かかる「権利」を譲り受けたと主張して、参加承継の申し出をすることができる(49条)。 第2 設問2 1 前述の…

慶應ロー 入試過去問 平成30年度(平成29年9月/平成30年4月入学) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 第1に、後訴に前訴既判力が作用し、裁判所は拘束されないか。 (1) 既判力とは、確定された判決の主文に表された判断の通有性[1]をいう。その趣旨は紛争解決の一回的解決という制度的要請にあり、正当化根拠は手続保障充足に基づく自己…

慶應ロー 入試過去問 平成29年度(平成28年9月/平成29年4月入学) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所が、Xの申し立てよりも低い150万円の立退料と引き換えに当該建物明け渡しの認容判決をしたことが、処分権主義(246条)に反し、許されないのではないか。 2 処分権主義とは、訴訟の開始、審判対象の特定、訴訟の終了について当事…

慶應ロー 入試過去問 平成28年度(平成27年9月/平成28年4月入学) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 本件では、入院治療費について、裁判所は、Xが申し立てた100万円を超えて、150万円と認定しているところ、処分権主義(246条)に反するのではないか。 (1) そもそも、不法行為における訴訟物の範囲はどこまでか。入院治療費と慰謝料…

独立当事者参加の手筋 (1)-制度趣旨と立法の過誤-

1.権利主張参加の趣旨 2.参加人の不利益 3.40条準用の正当性 ※参考文献[1] 事例1.【対物訴訟事例】XがYに対し甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起したのに対し、甲土地の所有権を主張するZが、甲土地の所有権の確認を求める請求をX及びYに立てて…

慶應ロー 入試過去問 平成27年度(平成26年9月/平成27年4月入学) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所は、Aによる不当な妨害があったかどうかについて、真偽不明の状態にある。このような場合に、裁判所は不当な妨害があったと認定すべきか。証明責任の分配基準が問題となる。 2 証明責任とは、裁判所が、ある要件事実について真…

慶應ロー 入試過去問 平成26年度(平成25年9月/平成26年4月入学) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 「Aが甲土地の所有者であったことは認める」との部分 (1) かかる主張が、「裁判所において自白した事実」(179条)にあたり、不要証効が認められるか。 ア 不要証効の認められる「自白」とは、当事者に争いのない「事実」をいう。そし…

慶應ロー 入試過去問 平成30年度(平成29年9月/平成30年4月入学) 商法 解答例

解答例 第1 問1 (以下、会社法は法名略。) 1 Yは、423条に基づき、甲社に対して損害賠償責任を負わないか。 2 Yは「株式会社」である甲社の「取締役」である。 3 Yは「任務を怠った」(任務懈怠)といえるか。 (1) 取締役は、会社に対して、委任契約に基…

慶應ロー 入試過去問 平成29年度(平成28年9月/平成29年4月入学) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 株式譲渡の譲渡は本来自由であり、当事者間で有効とするだけであれば、第三者の利益を害することもないため、当事者間では有効と考える。 2 それでは、本件株式譲渡は、会社との関係でも有効か。 (1) 取締役会設置会社における譲渡…