法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

新司法試験

令和5年度 司法試験 倒産法 解答例

解答例 第1問 第1 設問1(以下、破産法については、法名略。) 1 小問1 (1) ①について ア 破産手続開始時に破産者に帰属する財産は、破産財団に属する(34条1項)。また、当該財産が日本国内にあることを問わない(同括弧書き)。 イ ①の財産は、すでに売買…

令和5年度 司法試験 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 実行の着手は、行為者の犯行計画ないし認識を基礎として事態の進行が犯行の進捗度合いという観点からみて未遂処罰にふさわしい段階に至っているかを問うものである。そこで、実行の着手が認められるかどうかは、犯行計画が未遂…

令和5年度 司法試験 商法 解答例

解答例 第1 設問1小問1(以下、会社法は法名略。) 1 まず、Gは、本件売買契約が間接取引(356条1項3号)に該当し、任務懈怠が推定される(423条3項1号)、と主張することが考えられる。これに対して、Aは、本件売買契約は間接取引に該当しないため、推定規定…

令和5年度 司法試験 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 (1)について (1) Dの下線部㋐の反論は、すなわち、Dに配偶者短期居住権(1037条1項柱書)が認められるところ、居住権が認められる以上請求1を拒むことができ、かつ、無償での居住権が認められる以上請求2も拒むことができる(1037条1…

令和5年度 司法試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、民事訴訟法は法名略。) 1 (a) 法的根拠及び判断基準 民事訴訟法上、違法収集証拠に関する明文規定は存在せず、また、刑事訴訟と異なって将来の違法捜査の抑止という点を重視する必要がないことからすれば、真実発見の観点から、違…

令和4年度 司法試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 課題1について (1) 被告が甲となるような見解 ア 本件訴訟の被告は、甲である。 イ 当事者の確定の基準については、原告が訴訟を提起し、判決を求める意思を有する以上、原告の内心に従って当事者を決すると考える。 ウ 本件では、…

令和3年度 司法試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、民事訴訟法は法名略。) 1 課題1 (1) 引換給付判決をすることができない場合、裁判所としては、請求棄却判決をせざるを得ない。それでは、裁判所は請求棄却判決と引換給付判決のいずれをすべきであるか。処分権主義(246条)との関…

令和2年度 司法試験 刑法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、刑法については法名略。) 1 甲が、Bに対して、自己が暴力団組員であるように装って、「Aから債権の取立てを……うちの組の若い者をあんたの家に行かせる」などと言って、Bを畏怖させ、よって金銭を交付させた行為に恐喝罪(249条1項)…

令和2年度 司法試験 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 下線部①の取調べ(以下「本件取調べ」という。)は、実質的逮捕や強制手段等を用いた取調べにあたり、違法な取調べとならないか。 (1) 逮捕とは、個人の意思を制圧して、身体を拘束するという重要な法益侵害を伴う強制処分である。任意…

令和2年度 司法試験 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 第1に、BはCに対し、代金減額請求(民法563条1項)の抗弁を主張することが考えられる。 (1) 契約①は、乙建物の売買契約であるが、その具体的な内容として、Aがチェロの練習とするために、特に優れた防音性能を備えた物件であることが合…

令和2年度 司法試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 課題1について (1) 本件において、本件建物の明渡時に生じる敷金返還請求権について将来給付の訴えが認められるか。 (2) 将来給付の訴えについては、あらかじめその請求をすることが必要な場合に限り許される(民事訴訟法135条)。請…

令和2年度 司法試験 倒産法 解答例

解答例 【第1問】 第1 設問1 1 詐害行為取消訴訟は、破産手続開始決定によって中断する(破産法45条1項)。したがって、本件訴訟1も、令和2年12月2日時点で、中断する。 2 破産管財人は、中断した本件訴訟1について自ら受継することができる(破産法45条…

令和元年度 司法試験 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 甲社の臨時株主総会を自ら招集する場合の手続 (1) 乙社は、297条1項に基づいて、株主総会招集請求をする。 (2) 甲社は「公開会社」であるため、297条2項の適用はなく、297条1項の要件充足性を検討する。 乙社は、平成29年5月の時点で…

令和元年度 司法試験 刑法 解答例 

解答例 第1 設問1 1 甲が、本件キャッシュカード等が入った封筒をショルダーバッグ内に隠しいれた行為に、窃盗罪(235条)が成立する。 (1) 本件キャッシュカード等が入った封筒は「他人の財物」にあたる。 ア 「他人の財物」とは他人の所有する財物をいう…

令和元年度 司法試験 民事訴訟法 解答例 

解答例 第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 課題(1) (1) Yは、本件定めがA地方裁判所を専属的合意管轄の合意であると主張するものであるが、本件定めは競合的合意管轄の合意にすぎず、本件訴訟はB地方裁判所の管轄にも属するため、「訴訟の全部又…

令和元年度 司法試験 民法 解答例 

解答例 第1 設問1 1 甲建物の所有権は誰に帰属するか。請負契約における完成建物の所有権が注文者・請負人のいずれに帰属するかが問題となる。 (1) 246条1項によれば、材料の提供者に完成建物の所有権が原始的に帰属すると考えることが物権法理に整合する…

平成30年度 新司法試験 総合成績結果

成績結果 最近ブログの更新ができずに申し訳ありません。 司法試験の結果が届きましたので、こちらをまずは記事にしておきます。 ※多少の大雑把に書きますが、まあ大体こんなもの、ということでご了承ください。 公法系科目 憲法 D 行政法 E 合計 80点前後 …

平成30年度 新司法試験 5ちゃんでの拙再現答案への批評まとめ

はじめに 結構5ちゃんって面白いツールだと思っていて、司法試験のみんなの相場観などを探るのに最適なのかなと思っています。 なので、自分の再現答案についての批評を取り出してまとめてみました。 将来司法試験受験生が再現答案の相場観を知りたいときの…

平成30年度 新司法試験 結果報告

Twitterで先にご報告致しましたが、改めてブログで報告致します。 先ほどネットで司法試験の合否を確認したところ、無事司法試験に最終合格しておりました。 再現答案を読んでいただき、また、批評をしていただきありがとうございました。 改めて読むと誤字…

平成30年度 司法試験 短答式結果 点数・順位開示

合格していました。 予備合格者は2人しか落ちていなかったので、大丈夫だと思っていましたが、通知がくるとほっとしますね。 以下、点数と順位です。 憲法 39点/50点 民法 52点/75点 刑法 48点/50点 合計 139点/175点 順位 670位 予備試験の時は、短答式…

平成30年度 新司法試験 感想まとめ

とりあえず、選択科目を除いて全科目の再現答案をUP致しました(なお、選択科目についてのUPの予定はありません。笑)。 初日は、まあミスっても落ちることはないだろう、という感覚で6時半頃に五反田に到着。吉野家で朝ご飯を食べ、ベローチェで最後の確認を…

平成30年度 新司法試験 商法 再現答案

再現答案 第1 設問1 1 Dは甲社に対し、会社法(以下法名略)433条1項1号に基づく会計帳簿閲覧請求をしているものと考えられる。 2 Dは甲社株式の200株を有しており、総株式1000の内2割に相当するため、「議決権の100分の3以上の数の株式を有する株主」にあ…

平成30年度 新司法試験 民法 再現答案

再現答案 第1 設問1 1 BはAに対し、売買契約(民法555条(以下法名略))に基づく代金支払請求をすることが考えられる。 2 ABは平成29年9月10日に本件売買契約を締結しており、履行期である9月21日も到来している。 3 これに対して、AはBが松茸5キログラム…

平成30年度 新司法試験 刑事訴訟法 再現答案

再現答案 第1 設問1 1 下線部①捜査の適法性(以下「①捜査」という。) (1) ①捜査は「強制の処分」(刑事訴訟法(以下法名略)197条1項但し書)にあたり、許されないのではないか。もし仮に「強制の処分」にあたるとすると、本件捜査は捜査機関の五官の作用によ…

平成30年度 新司法試験 刑法 再現答案

再現答案 第1 設問1 1 乙がPTA役員会において「2年生の数学を担当する教員がうちの子の顔を殴った」と発言した行為について、名誉棄損罪(刑法(以下法名略)230条)が成立する。 (1) PTA役員会には乙を含む保護者4名とA高校の校長の5名しかいなかったが、な…

平成30年度 新司法試験 民事訴訟法 再現答案

再現答案 第1 設問1 1 課題(1) (1) AがBを被告として乙地裁に訴えを提起することは、重複訴訟禁止(142条)に反せず、違法でない。 ア 142条の趣旨は、判決矛盾のおそれ、訴訟不経済、被告の応訴の負担といった弊害を防止する点にある。 そこで、「事件」…

平成30年度 新司法試験 行政法 再現答案

再現答案 第1 設問1(1) 1 「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)9条1項)とは、主観訴訟の観点から、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害し又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、…

平成30年度 新司法試験 憲法 再現答案

再現答案 第1 青少年の権利 1 本件条例案8条3項は、青少年の情報摂取の自由を侵害し、憲法21条1項に反し違憲とならないか。 2 情報摂取の事由が21条1項によって保障されるかが問題となるが、情報の送り手と受け手が分離した現代においては情報の受け手から…