法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

予備試験

平成28年度 予備試験 刑事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 殺意とは、死の結果発生に対する認識・認容(刑法38条1項)をいう。本問では、証拠⑭のAの供述に基づくと、Aには被害客体Vについての認識がないため、死の結果発生に対する認識がないとして、殺意が否定されることとなる。 2 そこで…

令和4年度 予備試験 刑事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1[1] Bは、令和3年3月1日の夜、Aから電話で本件犯行をもちかけられたこと、同月9日午後0時過ぎ頃、Aと共にV方付近へ向かい、Aからサバイバルナイフを借りて本件犯行を実行したこと、AにVから奪ったキャッシュカードを渡した等こ…

令和5年度 予備試験 刑事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 Aの犯人性の認定にあたり、被害品がVのものであるという認定が必要となる。Vの被害品は、水色のリュックサック並びに現金22万9500円及びNKドラッグストアの会員カードが在中していた財布であり、当該財布は茶色の革製で二…

令和5年度 予備試験 倒産法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、民事再生法については、法名略。) 1 小問1 (1) A社は、未払売買代金を約定どおりに支払うことができない。 (2) 仕入先20社のA社に対する売買代金債権は、「再生債権」(84条1項)となる。 ア 「再生債権」とは、①再生債務者に対…

令和5年度 予備試験 民事実務基礎 解答例

解答例 第Ⅰ 設問1 1 小問1 保証契約に基づく保証債務履行請求権[1] 1個 2 小問2 被告は、原告に対し、金220万円を支払え。 3 小問3[2] (1) 原告は、被告に対し、令和4年8月17日、本件車両を代金240万円で売った。 (2) 被告は、原告との間で、同…

令和5年度 予備試験 商法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、会社法については、法名略。) 1 第1に、乙社は、議案の要領の通知請求(305条1項)が無視されたことは、305条1項に反し、「招集の手続」が「法令」に「違反」すると主張することが考えられる。かかる主張は、以下のとおり認められる…

令和5年度 予備試験 民法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、民法については、法名略。) 1 Bは、Aに対して、請負契約に基づく報酬代金支払請求をすることが考えられ、かかる請求は以下のとおり認められる。 (1) 令和5年7月1日、本件請負契約を締結した。これに対して、Aは「本件請負契約…

令和5年度 予備試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 Yの主張の根拠は、訴えの交換的変更によって、XのYに対する甲土地明渡請求の訴えを取り下げたのであるから、再訴禁止効(262条2項)により訴え却下される、というものであると考えられる。かかる主張の当否について、訴えの交換的変…

令和5年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 (1) Cは、「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という。)9条1項)にあたらず、原告適格を有しない。 (2) 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を…

令和5年度 予備試験 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、刑事訴訟法については、法名略。) 1 裁判官は、甲を本件住居侵入・強盗致傷の事実及び本件暴行の事実で勾留するいわゆる抱き合わせ勾留は、逮捕前置主義に反するものの、例外的に認められる。 2 被疑者勾留には、必ず逮捕が先行…

令和5年度 予備試験 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 甲が小屋の出入口扉を外側からロープできつく縛った行為に監禁罪(220条)が成立する、との主張は、監禁罪の保護法益を「移動しようと思えば移動できる自由(可能的自由)」と捉え、被害者に場所的移動の自由をはく奪されていることの認識…

令和4年度 予備試験 刑法 解答例

問題文 問題文は、こちらから。 解答例 第1 設問1(以下、刑法については法名略。) 1 甲が、Yに対して、ブドウを持ってくるように指示した行為に、窃盗未遂罪(243条、235条)が成立する。 (1) 甲の上記行為は、Yに対する単なる指示行為にすぎないものであ…

令和4年度 予備試験 商法 解答例

問題 問題文は、こちら。 解答例 第1 設問1 1 第1に、Dは、Cに対して、本件取引が甲社のCに対する利益供与(120条1項)にあたるとして、120条3項に基づく2億円の返還請求をすることが考えられる。 (1) 本件取引は、「利益の供与」にあたるか。 ア 同項の…

令和4年度 予備試験 民事訴訟法 解答例

問題 問題文は、こちら。 解答例 【解答例】 第1 設問1(以下、民事訴訟法は法名略。) 1 ①の方法について (1) Xに当事者適格が認められるか。 ア 当事者適格とは、特定の訴訟物について当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めることができる資格をいう…

令和4年度 予備試験 倒産法 解答例

問題文 問題文は、こちら。 解答例 第1 設問1小問1(以下、破産法は法名略。) 1 B社が、令和4年3月1日に行った所有権移転登記手続の申請行為(以下「本件申請行為」という。)は、「第三者に対抗するために行われた行為」(対抗要件具備行為)であるとこ…

令和3年度 予備試験 商法 解答例

解答例 第1 設問1(以下、会社法は法名略。) 1 第1に、乙社は、適法な手続を経てCが甲社の代表取締役になり、取引基本契約が適法に締結された、と主張することが考えられる。 (1) まず、取締役会設置会社の場合、代表取締役の選任は取締役会の権限である…

令和3年度 予備試験 刑事訴訟法 解答例

問題文 問題文はこちらから。 解答例 第1 設問1(以下、刑訴法は法名略。) 1 ①の逮捕は、準現行犯逮捕(213条、212条2項)として、適法である。 2 甲は、「左の各号の一にあたる者」にあたる。 (1) まず、甲は、「贓物」を「所持しているとき」(212条2項…

令和3年度 予備試験 刑事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 (1) 罪証隠滅のおそれについて(刑事訴訟法60条1項2号) ア 「罪証隠滅のおそれ」とは、証拠に対する不正な働きかけによって、判断を誤らせたり、捜査や公判を紛糾させたりするおそれがあることをいう。罪証隠滅のおそれの有無…

令和3年度 予備試験 民事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 賃貸借契約に基づく一部請求に係る55万円の賃料支払請求権[1] 2 小問2 被告は、原告に対し、55万円を支払え との判決を求める。 3 小問3 あ 原告は、被告との間で、令和2年6月15日、甲建物を、賃貸期間を同年7月1日から令…

令和3年度 予備試験 刑法 解答例

問題 令和3年度予備試験刑法の問題はこちらから。 解答例 第1 乙の罪責(以下、刑法は法名略。) 1 乙が、Xの介護に疲れ果てたことから、同人を殺害しようと決意し、某月30日、自宅において、手で同人の首を絞め続け、よって、同所において、同人を窒息によ…

令和3年度 予備試験 民事訴訟法 解答例

問題文 問題文はこちらから。 解答例 第1 設問1(以下、民事訴訟法は法名略。) 1 小問1 (1) 第1に、Yは、XY間には債権債務関係がないことを争うため、Zの側へ共同訴訟参加をすることが考えられるが、そもそもYには本件訴訟における被告適格が認められな…

令和2年度 予備試験 刑事実務基礎科目 解答例

解答例 第1 設問1 1 小問1 (1) 認定した間接事実の概要 本件犯行前後に、本件犯行現場付近の応接テーブルにAの指紋が付着していたこと (2) 認定プロセス 犯人は、令和2年2月1日午後2時から午後9時45分の間に、J県L市内のV方において、Vの胸部を刃物で…

令和2年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件条項には、以下の検討のとおり、法的拘束力が認められない。 2 本件条項はいわゆる公害防止協定であるところ、公害防止協定の法的性質が何かが問題となる[1]。公害防止協定は、相手方との合意である以上、原則として民事法上の法…

令和2年度 予備試験 憲法 解答例

解答例 1 報道関係者が犯罪被害者等に対して取材等を行うことを禁止する旨の立法は、憲法21条1項に反せず、合憲であると考える。以下、理由を論じる。 2 報道関係者が犯罪被害者等に対して取材等を行う自由は、表現の自由ではないものの、21条1項の趣旨か…

令和2年度 予備試験 商法 解答例

解答例 第1 設問1(会社法は法名略。) 1 Bの乙社に対する損害賠償責任の追及 (1) Bの会社法上の損害賠償責任の有無 ア Bは、本件買取りは直接取引(356条1項2号)であるにも関わらず、株主総会の承認を経ていないことを理由として、乙社に対して423条1項に…

令和2年度 予備試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 前段について (1) 第1に、本訴は、不存在と主張する債務の額について特定していないところ、不適法とならないか。 ア 不法行為の損害賠償債務の場合、債務者が損害額を知らない場合があり得、そのような場合に債務の額の特定を要求す…

令和2年度 予備試験 民法 解答例

解答例 第1 設問1(民法は法名略。) 1 CはAに対して、消費貸借契約に基づく貸金返還請求をすることが考えられる。かかる請求は認められるか。 2 Cは、Bに対して、令和2年4月20日、返還の時期を定めないで、100万円を貸し付けた(以下「本件消費貸借契約」…

令和2年度 予備試験 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1(刑訴法は法名略。) 1 ①公訴事実の判決の確定によって、②公訴事実について「確定判決を経た」(337条1号)といえるか。いわゆる一事不再理効の客観的範囲が問題となる。 2 既に前訴で確定判決を経た場合には後訴が免訴判決となる、すなわ…

令和2年度 予備試験 刑法 解答例

解答例 1 甲が、Bに対し、暴力団であるX組組員であることを秘して、Bと暴力団排除条項たる本件条項のあるB所有のマンション(以下「本件マンション」という。))の本件居室の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結した行為について、詐欺罪(246条2項)が…

平成29年度 予備試験 刑事実務基礎 解答例

解答例 第1 設問1 1 「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」の判断は、①罪証隠滅の対象②罪証隠滅の態様③罪証隠滅の客観的可能性④罪証隠滅の主観的可能性の観点から判断する[1]。 2 本件では、Aは本件被疑事実の暴行行為について否認しているところ…