法律解釈の手筋

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『刑法事例演習教材[第2版]』解答例

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題24 「警部補のおねだり」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲は、平成23年10月12日から平成25年2月20日までは警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第4課で、同月21日から翌年末までは警視庁A警察署地域課で、それぞれ犯罪の捜査等に関わり、告発を受理し、刑事事件の被害者から相談を受けて助言…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題23 「即断3連発」 解答例

解答例 1 甲が、Bに対し、Bを羽交い絞めにし、右手でBの胸をまさぐり、首筋の数か所にキスをした行為に、強制わいせつ罪(176条)が成立する。 (1) 「暴行」とは、相手方の反抗を著しく困難にする程度の不法な有形力の行使[1]をいう。そして、被害者の反抗を…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題21 「アイ・ラブ・オールド・ピープル」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、アイロップの議事録(以下「本件議事録」という。)に「理事会議事録署名人甲野一郎」と記名・押印した行為に、無印私文書偽造罪(159条3項)が成立する。 (1) 本件議事録は、アイロップ理事会の議事を記録する文書であるため、「…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題26 「某球団ファンの暴走・その1」 解答例

解答例 第1 乙の罪責 1 乙が、「建造物」AにAの管理権者の意思に反して立入り「侵入」した行為に建造物侵入罪(130条前段)が成立する。なお、丙と共同正犯となる。 2 乙が、貴金属を盗むためにショーケースを叩き割った行為に窃盗未遂罪(235条、243条)が成…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題25 「報復と仲間割れ」 解答例

解答例 第1 ②の傷害について[1] 1 甲乙Aが共同して、Dの顔面、頭部等を足蹴にし、その頭部を手拳で殴るなどの暴行を加え、よって上顎左右中切歯亜脱臼を負わせた行為について、傷害罪の共同正犯(60条、204条)が成立する。 (1) A甲乙は上記行為を共同実行し…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題19 「週刊だけど「毎朝」」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 (以下、刑法は法名略。) 1 甲が、Aが妻Bを殺害したとの事件について「週刊毎朝」に「東京地検の捜査関係者は~と語っている」との事実を記載した記事を掲載した行為に名誉毀損罪(230条)が成立する。 (1) 甲は、上記事実を「週刊毎朝」…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題17 「逆恨み」 解答例

解答例 1 甲が、A市警察署に対し、合計30回にわたってデタラメな内容の110番通報をした行為について、偽計業務妨害罪(233条)が成立する。 (1) 甲が妨害した業務はA市警察の緊急出動という公務であるが、「業務」にあたる。 ア 「業務」とは、社会生活上の…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題14 「燃え移った炎」 解答例

解答例 【解答例】 第1 共同正犯 1 甲乙丙が、共同してトーチランプの炎が消火しているかを確認することなくトーチランプのそばを立ち去った行為について、業務上失火罪の共同正犯(60条、117条の2)は成立しない。 2 過失犯に共同正犯は成立しない。 (1) …

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題11 「帳簿の紙吹雪」 解答例

解答例 1 甲が、Bに対し、Bの手を振り払い、事業関係帳簿を破いた行為に公務執行妨害罪(95条1項)が成立する。 (1) Bは国税調査官であるところ、「公務員」(7条1項)にあたる。 (2) Bは、国税通則法74条の2の質問調査権に基づいてA社の帳簿を調査していたの…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題46 「夜の帝王」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、殺害目的で、甲の両親の自宅に合い鍵を用いて入った行為に、住居侵入罪(刑法130条)が成立する。 (1) 甲は、甲の両親の子であるが、両親の自宅に住んでいるわけではないのでAの住建に属さず、「人の」「住居」にあたる。 (2) …

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題39 「渡る世間は金ばかり」 解答例

解答例 第1 乙の罪責 1 乙が、B信用金庫C支店職員をして、C支店の幸楽株式会社代表取締役甲名義の預金口座に1000万円を入金する処理を行わせた行為に背任罪(248条)が成立せず、何らの犯罪も成立しない。 (1) 乙は、C支店の支店長であり、支店長は5000万円…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題34 「金とカードと男と女」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲がATMから現金200万円を引き出した行為に、業務上横領罪(253条)が成立する。 (1) 現金200万円はA社が使途を限定した金銭であり、株式会社A代表取締役B名義の預金口座に預けられており甲の一般財産との混同が禁止されているところ…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題36 「一石三鳥」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲がAのパソコン(以下「本件パソコン」という。)を盗み出した行為に窃盗罪(235条)が成立する。 第2 乙の罪責 1 乙が、甲から預かった本件パソコンがAのデザイン事務所から盗み出したものだと認識した後も本件パソコンを保管していた…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題27 「欲深い売主」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が本件土不動産をBに売却した行為に、Aに対する横領罪(252条1項)が成立しない。 (1) まず、本件不動産はAという「他人の物」にあたる。 ア 「他人の物」とは他人が所有する財物[1]をいう。所有権の移転時期は売買契約締結時である…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題13 「一線を越えた男友達」 解答例

解答例 1 甲が、B店において、Aのクレジットカードを用いて、28万円のバッグを購入した行為に、B店に対する詐欺罪(246条1項)が成立する。 (1) 「人を欺」く行為とは、財物の主観性故に広がる処罰範囲限定の観点から、①財産交付の判断の基礎となる重要な事…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題5 「ピカソ盗取計画」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、A所有の倉庫の敷地内に侵入した行為に、建造物侵入罪(130条)が成立する。 (1) 敷地内も「建造物」に含まれる。 ア 建造物侵入罪の保護法益は建造物管理権者の管理権であるところ、建造物と一体である囲繞地についても、管理権…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題2 「D子は見ていた」 解答例

解答例 1 甲が、A所有の財布(以下「本件財布」という。)を持ち去った行為に占有離脱物横領罪(刑法254条(以下法名略。))が成立する。 (1) 本件財布はA所有の財布であり「他人の物」にあたる。 (2) 本件財布は、Bの6階ベンチに置き忘れており、A及びその他…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題9 「紫の炎」 解答例

解答例 1 甲がAらの住居に使用する集合住宅(以下「本件集合住宅」という。)の中に入った行為及び本件集合住宅の居住者用の屋外駐車場に立ち入った行為という一連の行為に邸宅侵入罪(130条)が成立する。 (1) 「邸宅」とは、居住用の建造物で住居以外のもの[…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題8 「トランク監禁の悲劇」 解答例

解答例 第1 甲がAの顔面を手拳で数回殴打した行為について 1 第1の行為について、甲に暴行罪が成立する。 2 乙は甲と第1の行為について意思連絡をしていないところ、共謀が認められず、暴行罪の共同正犯(208条、60条)は成立しない。また、乙には甲またはA…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題4 「黄色点滅信号」 解答例

解答例 1 甲は、見通しの悪い交差点において、徐行し、進路の安全を確認しつつ進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り自動車を進行させているが、Aの死について過失運転致死罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)は成立しない。 2 「自動車の運…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題48 「父と子の逃避行」 解答例

解答例 第1 乙の罪責 1 乙が、Cに対し虚偽の事実を告げてBの引き渡しを求め、Bを甲宅に連れて行った行為に、未成年者誘拐罪(224条)が成立する。 (1) Bは「未成年」である。 (2) 「誘拐」とは、①欺罔又は誘惑を手段として②人をその生活環境から離脱させ、③…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題7 「男の恨みは夜の闇より深く」 解答例

解答例 第1 甲乙がAの顔面を強打した行為について 甲乙が「共同」して、Aの顔面を強打し、それによって側頭部を路面に強く打ちつけ、側頭部に加療4週間程度を要する頭部打撲傷を負わせ、生理的機能を障害し「傷害」させ行為は、傷害罪(204条)の「犯罪を実行…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題10 「偽装事故の悲劇」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が自家用車(以下「甲車両」という。)でAの自家用車(以下「A車両」という。)に衝突し、よってAを死亡させた行為に傷害致死罪(205条)が成立する。 (1) 甲は、不法な有形力行使たる上記行為によって、Aに頸椎捻挫という生理的機能の…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題41 「ノー・ウェイ・アウト(No Way Out)」 解答例

解答例 1 甲の第1暴行について、暴行罪(208条)が成立する。 2 甲の第2暴行に傷害罪(204条)が成立する。 (1) 甲の第2暴行はAの生理的機能を障害するに足りる行為である上、それによって、Aには加療約2週間を要する顔面挫創の「傷害」を負っている。 (2) …

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題35 「妄想と勘違い」 解答例

解答例 1 甲がBに対し時速20キロメートルのスピードで、Bの正面左側から車両全部を衝突させた行為に、殺人未遂罪(203条、199条)が成立する。 2 実行行為とは、法益侵害惹起の現実的危険性の認められる行為をいう。本件では、甲の上記行為は、時速20キロメ…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題31 「招かれざる客」 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲A共謀の上、AがBに睡眠薬を飲ませた点について、甲に昏睡強盗未遂罪の共同正犯(60条、243条、239条)が成立する。 (1) 甲は、Bに対し睡眠薬を飲ませるという実行行為を行っていないが、共同正犯の客観的構成要件を充足する。 ア 一…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題33 「ナンパ仲間の暴走」 解答例

解答例 1 甲が、衣類に火をつけ、Dマンション204号室の壁付近に投げつけ、同室の壁を焼損させた行為について、現住建造物放火罪(108条)は成立せず、何らの犯罪も成立しない。 2 Dマンション204号室は「現に人がいない」が、「現に人が住居に使用」している…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題30 「暗転した同窓会」 解答例

解答例 第1 第1暴行について 1 甲乙が共同してBに対し暴行を行う中で甲が第1暴行によってBを死亡させた点について、甲乙には何らの犯罪も成立しない。 2 甲乙の上記行為について傷害致死罪の共同正犯(205条、60条)の客観的構成要件は充足する。 (1) 甲乙…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題28 「元風俗嬢の憤激」 解答例

解答例 第1 乙の罪責 1 乙は、Aに対し、基本的検査をして不適合輸血をしない注意義務があるにもかかわらずこれを怠り不適合輸血をした行為に業務上過失致死罪(211条)が成立する。 (1) 乙は医者としての職務として上記行為に及んでいるところ、職務又は社会…

『刑法事例演習教材[第2版]』 問題20 「クリスマスイブの事件」 解答例

解答例 1 甲が、Aに対し、睡眠薬を大量に混入させたビールを飲用させた行為に、殺人未遂罪(203条、199条)が成立する。 (1) 甲の上記行為は、殺人罪の「実行に着手」(43条本文)したといえる。 ア 実行行為とは、法益侵害惹起の現実的危険性を有する行為をい…