法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所は、Aによる不当な妨害があったかどうかについて、真偽不明の状態にある。このような場合に、裁判所は不当な妨害があったと認定すべきか。証明責任の分配基準が問題となる。 2 証明責任とは、裁判所が、ある要件事実について真…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 「Aが甲土地の所有者であったことは認める」との部分 (1) かかる主張が、「裁判所において自白した事実」(179条)にあたり、不要証効が認められるか。 ア 不要証効の認められる「自白」とは、当事者に争いのない「事実」をいう。そし…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 商法 解答例

解答例 第1 問1 (以下、会社法は法名略。) 1 Yは、423条に基づき、甲社に対して損害賠償責任を負わないか。 2 Yは「株式会社」である甲社の「取締役」である。 3 Yは「任務を怠った」(任務懈怠)といえるか。 (1) 取締役は、会社に対して、委任契約に基…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 株式譲渡の譲渡は本来自由であり、当事者間で有効とするだけであれば、第三者の利益を害することもないため、当事者間では有効と考える。 2 それでは、本件株式譲渡は、会社との関係でも有効か。 (1) 取締役会設置会社における譲渡…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件貸付けの効力 本件貸付は直接取引(会社法(以下法名略)356条1項2号)にあたるにもかかわらず、Yが取締役会の決議を経なかったことを理由に、本件貸付けが無効とならないか。 (1) 本件貸付けが直接取引にあたるか。 ア 直接取引…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 事前の措置について (1) 株主であるXは、303条1項に基づき、Y社に対して「取締役の選任」について株主総会の目的とし、かつ、自己を取締役候補者に挙げることを請求することが考えられる。 (2) XはY社株式を80万株有しており、Y社発…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題23 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件では、訴状に記載されていないAを訴訟手続から排除し、Yに期日の呼出しを行うべきではないか。第1回口頭弁論期日において被告が訴状に記載されたYであるかどうかに疑義が生じているところ、当事者の確定が問題となる。 (1) 基準の…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題14 解答例

解答例 第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 本件訴状の送達が無効であるところ、再審の訴えが認められないか。 2 まず、訴状送達の不適法が338条1項3号の再審事由にあたるか。 (1) 有効に訴状の送達がされずに被告とされた者が訴訟に関与する機会…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 平成25年7月1日に開催された甲社取締役会(以下「本件役会」という。)は、Aが取締役Cに対して招集通知を発していないところ、かかる点が368条1項に反し違法であるとして、本件役会が無効とならないか。 (1) 株主総会を開催するには…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 民法 解答例

解答例 第1 表見代理(110条)の適用 1 Yは本件貸付に表見代理が成立し、有効であることを根拠に、満期保険金300万円の返還債務と200万円の返還債務との相殺(505条1項)が認められると主張する。 2 まず、本件貸付では、A自らXの印鑑を利用してXの委任状を作…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 XはY及びZに対して抵当権(369条1項)に基づいて物上代位(372条・304条1項)を行使して、2016年9月分の賃料支払請求をすることが考えられる。 (1) Xは2016年7月15日にAに対し2億円の融資をしており、かかる債権を被保全債権として同日に…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 民法 解答例

解答例 1 EはCに対して所有権(206条)に基づく本件建物収去土地明渡請求[1]をすることが考えられる。 (1) Eは土地αの元所有者であるBから平成17年8月15日に売買契約を締結し、本件越境部分を含む土地βを譲受している。Cは土地αの一部である本件越境部分を本…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 AはBに対して売買契約(555条)に基づく代金支払請求をすることが考えられる。 (1) まず、AはBと甲地の売買契約を締結している。 (2) もっとも、Bは、甲地が売買契約締結後に地震で海没しており、536条1項によって自己の売買代金債務…

平成30年度 予備試験 刑法 解答例

解答例 第1 犯罪の成否 1 甲がCに対してうその話をして,定期預金の払戻しを申し入れた行為に、Vに対する業務上横領罪(253条)が成立しないか[1]。 (1) 「業務」とは、委託を受けて物を管理することを内容とする事務をいうところ、本件では、甲は会社設立後…

平成30年度 予備試験 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 下線部①の行為(以下「①行為」という。)の適法性 (1) まず、凶器を使用した強盗等犯罪が多発していたJ町において、甲はPと目が合うや、急に慌てた様子で走り出すという怪しい行動をとっているところ、強盗等犯罪の犯人ではないかとの嫌…

平成30年度 予備試験 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 Y及びZに対する請求相互の関係 両請求が必要的共同訴訟か通常共同訴訟かが問題となるが、両請求の訴訟物は別個であり、共同提訴の必要性もないので、必要的共同訴訟にはあたらない。そして、両請求は本件絵画売買契約に基づく代金支払請…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 AはCに対して所有権(206条)に基づく返還請求として、本件クレーンの返還請求をすることが考えられる。 2 本件クレーンはAの所有である。本件クレーンは、現在Cが占有している。 3 これに対して、Cは即時取得(192条)によって本件クレ…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題27 解答例 【否定説ver.】

解答例 第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 まず、XY訴訟とXZ訴訟は貸金返還請求権と保証債務履行請求権で訴訟物は別個であるため、両訴訟は通常共同訴訟(38条)の関係にある[1]。 2 XY訴訟について 裁判所は、XのYに対する消費貸借契約に基づく貸金…

平成29年度 予備試験 刑法 再現答案  【評価B】

再現答案 (自己評価:B→結果:B) ※平成29年度 予備試験 刑法 参考答案例 との比較・参照を奨めます。 第1 甲の罪責 1 甲が殺意をもって、宅配便を利用して、Vに毒入りワインを送った行為に、殺人罪の未遂犯(203条、199条)が成立しないか。 (1) 甲は…

平成29年度 予備試験 刑法 解答例 【行為無価値ver.】

解答例 第1 甲の罪責 1 甲が、殺意をもって、宅配便をして、Vに毒入りワインを送った行為に殺人未遂罪(203条、199条)が成立する。 (1) 甲は宅配便を利用してワインを送り付け、被害者Vが勝手にワインを飲むようにしむけているに過ぎないが、甲に正犯性が…

平成28年度 予備試験 刑法 解答例

解答例 第1 甲宅に対する放火について 1 甲・乙が「共同」し、甲宅にX発火装置を置いて「犯罪を実行」した行為について、現在建造物放火未遂罪の共同正犯(60条、112条、108条)は成立しない。 (1) 甲宅は土地に定着し人の出入りに適した構造を有する建物で…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題29 解答例

解答例 第1 設問1 1 「訴訟の結果」について、判決主文に限定するとの考え方があるが、元々かかる考え方も訴訟物に限定していなかったと考えられる。また、補助参加人は既判力に服するわけではないところ、判決主文と理由中の判断を区別する根拠はない。そ…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題30 解答例

解答例 第1 設問1 1 Xは本件訴訟の「当事者」にあたる。 2 本件訴訟は、「訴訟」が「係属」している。 3 Yは「第三者」であるが、「参加することができる」第三者にあたるか。本件では、補助参加(42条)の可否が問題となる。 (1) 「訴訟の結果」について…

東大ロー期末試験 上級刑事訴訟法 2015年度 解答例

解答例 第1 第1問 1 違法収集証拠排除法則により、覚せい剤の証拠能力は認められず、証拠とすることができないのではないか。 2 かかる法則を認める明文の規定はない。しかし、将来における違法捜査抑止の観点から、同法則を認める必要性がある。もっとも…

平成27年度 予備試験 刑法 解答例 【賄賂:間接正犯、横領:共同正犯構成】

www.law-ss.site 以下の解答例は、もう1つの解答例と比較参照しながら検討されることをおすすめします。 解答例 第1 丙の罪責 1 丙が、甲との間で公共工事をA社と契約し、そのお礼として50万円を受け取る旨の約束をした上、丁をして現金50万円を受け…

『ロースクール演習 民事訴訟法[第2版]』 問題24 解答例

解答例 第1 設問1小問1 (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 裁判所は、甲債権乙債権ともに成立・存在し、相殺適状にあるとの心証を形成しているところ、甲債権と乙債権はその対等額において消滅することになる(民法505条1項)。したがって、甲債権250万円は乙…

東大ロー期末試験 上級民事訴訟法 2015年度(高田裕成問) 解答例

解答例 第1 問題1 設問1 1 第1に、裁判所は、本件においてXの本件建物共有持分権を有することの確認判決をすることは処分権主義に反せず、可能であった。 本件訴訟物はXの本件建物所有権である。これに対して、共有持分権確認判決が一部に認容判決として許…

東大ロー期末試験 上級民事訴訟法 2012年度(松下淳一問) 解答例

解答例 第1 第1問 小問1[1] (以下、民事訴訟法は法名略。) 1 Xの本問訴えは、確認の利益を欠き、不適法とならないか。 2 確認の利益とは、確認の訴えによる本案判決を求める必要性をいう。確認の訴えでは、その対象が無限定になるところ、訴えを限定する必…

平成26年度 予備試験 刑法 解答例

解答例 第1 甲の罪責 1 甲がVに対し鑑定の必要があるなどと言って、仏像を交付させた行為に詐欺罪(246条1項)が成立しないか。 (1) 甲の上記行為は、「人を欺い」ているか。 ア 「人を欺」く行為とは、①財産処分に向けられた②財産交付の基礎となる重要な事…

東大ロー期末試験 上級民事訴訟法 2013年度(高田裕成問) 解答例

解答例 第1 問題1 設問1 1 空欄には、「控訴を棄却し」が入ると思われる。 2 控訴においては、控訴人の利益又は不利益に判決を変更することができないという、不利益変更禁止の原則及び利益変更禁止の原則が認められる(304条)。その趣旨は、控訴における…