法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 YはXに対して、429条1項に基づく損害賠償責任を負う。 2 429条1項の法的性質は、株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、株式会社の活動は、その機関である役員等の職務執行に依存するものであることに鑑み、役員等に…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 憲法 解答例

解答例 第1 法令違憲 1 Xは、以下のとおり主張する。すなわち、本件条例1条が、Y町クジラ・イルカ会館(以下「本件会館」という。)の設置目的を捕鯨・イルカ漁を守るための社会的諸活動を支援するため、としていることは、憲法14条1項に反し違憲である。捕鯨…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 刑法 解答例

解答例 第1 問題1 ① 221条 因果関係が認められるため[1] ② 108条 独立燃焼するに至ったため[2] ③ 60条、130条前段、236条1項 共犯関係の解消が認められないため[3] ④ 218条、210条 Aの死が合理的疑いを超える程度に確実でないため[4] ⑤ 130条前段、235条、1…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 Yの罪責 Yが、Bに対しモデルガンを構えながら「金を出せ。」と申し向け、A店の現金五千円札20枚を差し出させた行為に、A店に対する強盗罪(236条1項)が成立する。 (1) Yの上記一連の行為は、モデルガンを使用したにすぎず、かつXに命じ…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑法 解答例

解答例 第1 第1問 1 Xの罪責 (1) Xが、Vの右腿を包丁で突き刺し、その後殺意をもってVの左胸部を包丁で突き刺し、Vを死亡させた一連の行為に殺人罪(199条)が成立し、過剰防衛(36条2項)として任意的減免となる。 (2) Xの上記行為は、Vの右腿や左胸部という…

一橋ロー入試 平成28年度(2016年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 原告の主張 (1) 国籍法12条は、出生地の内外によって国籍留保の有無について別異取扱いをしており、かかる別異取扱いは憲法14条1項に反するため違憲である、と主張する。 (2) まず、国籍法12条は、出生により外国の国籍を取得した…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 Cとしては、本件入館拒否は、Xの情報摂取の自由を侵害し、21条1項に反して違法であると主張することが考えられる。 (1) まず、情報摂取の自由は、表現の自由を保障した自己実現・自己統治の価値という趣旨・目的から、いわばその…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 Xは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「法」という。)19条1項が職業選択の自由を侵害し、22条1項に反し違憲無効であるため、Xの「あん摩マッサージ指圧師」の免許取得が可能なコース新設の申請に対…

一橋ロー入試 令和元年度(2019年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 原告は、本件不許可処分は、Xらの集会の事由を侵害し、憲法21条1項に反するため、違憲であると主張する。 2 憲法21条1項は、集会の自由を保障する。集会の自由とは、多数人が政治・経済・学問・芸術・宗教などの問題に関する共通の…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件では、身体検査令状(218条1項)によって、本件ATMにAを連行した上で、Aを本件ATMの前に佇立させてビデオカメラで撮影すること(以下「本件撮影」という。)ができると考える。 (1) 検証とは、特定の場所や物や人の身体の性質・…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 本判決が、第1審判決を「当事者の訴訟活動を基礎として形成」されていると評価しているのは、刑事訴訟法が当事者追行主義を採用していると評価したためであると考える。当事者追行主義とは、当事者が手続遂行の主導権を持つ方式をい…

一橋ロー入試 令和元年度(2019年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 小問1 1 「事案の軽重、立証の難易等諸般の事情を考慮」して、検察官が公訴を提起することができるのは、刑訴法上、起訴便宜主義(248条)が採られているからである。 2 起訴便宜主義とは、犯罪の嫌疑があり、かつ訴訟条件が具備していても、犯罪…

「ケースで考える債権法改正 第5回 請負における報酬債権」 ((法学教室467号、2019年8月号)89頁)

【解答例】 第1 事例1 1 ①について (1) BはAに対し、634条に基づく5000万円の割合的報酬請求をすることができない[1]。 (2) 請負人Bは、注文者Aから、市役所前の市道の舗装を1平方メートルあたり2万円代金総額1億円で請け負った(以下「本件契約」と…

「ケースで考える債権法改正 第4回 売買契約の解除」 (法学教室466号、2019年7月号・73頁)

解答例 第1 小問1 1 Aは、催告解除(541条)の意思表示によって甲の売買契約(以下「本件契約」という。)を解除することができる。 2 AはBと本件契約を締結している。本件契約に際し、Bの甲引渡債務(以下「本件債務」という。)の履行期は6月1日と合意し…

「ケースで考える債権法改正 第2回 錯誤」 (法学教室464号、2019年5月号・71頁)

第1 売買契約①について 1 AはBに対し、原状回復請求権に基づく金銭返還請求(121条の2)をすることが考えられる。 2 Aは、売買契約①は基礎事情錯誤(95条1項2号)があるとして、取消しの意思表示(120条2項)をすることが考えられる。 (1) Aは、主観では、…