法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

2019-01-01から1年間の記事一覧

令和2年度(2020年度) 東大ロー入試 公法系 解答例

解答例 第1 設問1(以下、行政事件訴訟法は「行訴法」という。) 1 Aは、関税法(以下、「法」という。)93条の規定がなかったとしても、通知について処分取消しの訴え(行訴法3条2項)により、①の入手を実現することができる。 2 上記訴えによる場合、上記通…

令和2年度(2020年度) 東大ロー入試 刑事系 解答例

解答例 第1 設問1(本設問では、刑法は法名略) 1 Yの罪責 (1) Yが、Aを自働車(以下、Aを入れていた自動車を「本件車両」という。)後部のトランク内に入れ、よって、Aを死亡させた行為に、監禁致死罪(221条)が成立する。 ア 「監禁」とは、一定の場所からの…

令和2年度(2020年度) 東大ロー入試 民事系 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 共同相続された株式が相続人にどのように帰属するか。 2 株式は、自益権と議決権等の共益権からなっており、共同相続人に当然に分割される単なる金銭債権とは異なる。また、当然に共同相続人に分割されるとすれば、共同相続人間の…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 小問1 1 319条1項、320条1項、322条1項本文 第2 小問2 1 K作成のXの供述を録取した書面(以下「本件調書」という。)は、任意にされたものとはいえず、319条1項により証拠能力が認められない[1]。 (1) 自白法則の趣旨は、任意性を欠く自白は類型…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 問1 1 第1に、本件前訴の確定判決の既判力が後訴に作用するか。 (1) 既判力(114条1項)とは、前訴確定判決の後訴への通有性ないし基準性をいう。その趣旨は紛争の一回的解決という制度的要請であり、正当化根拠は、手続保障充足に基づく自己責任…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 民法(新規定対応) 解答例

解答例 第1 設問1 1 AはBに対し、用法遵守義務違反(616条、594条1項)を理由に、契約の解除をし(541条)、本件建物の返還請求をすることが考えられる。 (1) 賃借人は、契約または目的物の性質により定まった用法に従い、使用収益しなければならない(616条、…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 YはXに対して、429条1項に基づく損害賠償責任を負う。 2 429条1項の法的性質は、株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、株式会社の活動は、その機関である役員等の職務執行に依存するものであることに鑑み、役員等に…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 憲法 解答例

解答例 第1 法令違憲 1 Xは、以下のとおり主張する。すなわち、本件条例1条が、Y町クジラ・イルカ会館(以下「本件会館」という。)の設置目的を捕鯨・イルカ漁を守るための社会的諸活動を支援するため、としていることは、憲法14条1項に反し違憲である。捕鯨…

慶應ロー入試 令和2年度(2020年度) 刑法 解答例

解答例 第1 問題1 ① 221条 因果関係が認められるため[1] ② 108条 独立燃焼するに至ったため[2] ③ 60条、130条前段、236条1項 共犯関係の解消が認められないため[3] ④ 218条、210条 Aの死が合理的疑いを超える程度に確実でないため[4] ⑤ 130条前段、235条、1…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 Yの罪責 Yが、Bに対しモデルガンを構えながら「金を出せ。」と申し向け、A店の現金五千円札20枚を差し出させた行為に、A店に対する強盗罪(236条1項)が成立する。 (1) Yの上記一連の行為は、モデルガンを使用したにすぎず、かつXに命じ…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑法 解答例

解答例 第1 第1問 1 Xの罪責 (1) Xが、Vの右腿を包丁で突き刺し、その後殺意をもってVの左胸部を包丁で突き刺し、Vを死亡させた一連の行為に殺人罪(199条)が成立し、過剰防衛(36条2項)として任意的減免となる。 (2) Xの上記行為は、Vの右腿や左胸部という…

一橋ロー入試 平成28年度(2016年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 原告の主張 (1) 国籍法12条は、出生地の内外によって国籍留保の有無について別異取扱いをしており、かかる別異取扱いは憲法14条1項に反するため違憲である、と主張する。 (2) まず、国籍法12条は、出生により外国の国籍を取得した…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 Cとしては、本件入館拒否は、Xの情報摂取の自由を侵害し、21条1項に反して違法であると主張することが考えられる。 (1) まず、情報摂取の自由は、表現の自由を保障した自己実現・自己統治の価値という趣旨・目的から、いわばその…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 Xは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「法」という。)19条1項が職業選択の自由を侵害し、22条1項に反し違憲無効であるため、Xの「あん摩マッサージ指圧師」の免許取得が可能なコース新設の申請に対…

一橋ロー入試 令和元年度(2019年度) 憲法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 原告は、本件不許可処分は、Xらの集会の事由を侵害し、憲法21条1項に反するため、違憲であると主張する。 2 憲法21条1項は、集会の自由を保障する。集会の自由とは、多数人が政治・経済・学問・芸術・宗教などの問題に関する共通の…

一橋ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件では、身体検査令状(218条1項)によって、本件ATMにAを連行した上で、Aを本件ATMの前に佇立させてビデオカメラで撮影すること(以下「本件撮影」という。)ができると考える。 (1) 検証とは、特定の場所や物や人の身体の性質・…

一橋ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 小問1[1] 1 本判決が、第1審判決を「当事者の訴訟活動を基礎として形成」されていると評価しているのは、刑事訴訟法が当事者追行主義を採用していると評価したためであると考える。当事者追行主義とは、当事者が手続遂行の主導権を持つ方式をい…

一橋ロー入試 令和元年度(2019年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 小問1 1 「事案の軽重、立証の難易等諸般の事情を考慮」して、検察官が公訴を提起することができるのは、刑訴法上、起訴便宜主義(248条)が採られているからである。 2 起訴便宜主義とは、犯罪の嫌疑があり、かつ訴訟条件が具備していても、犯罪…

「ケースで考える債権法改正 第5回 請負における報酬債権」 ((法学教室467号、2019年8月号)89頁)

【解答例】 第1 事例1 1 ①について (1) BはAに対し、634条に基づく5000万円の割合的報酬請求をすることができない[1]。 (2) 請負人Bは、注文者Aから、市役所前の市道の舗装を1平方メートルあたり2万円代金総額1億円で請け負った(以下「本件契約」と…

「ケースで考える債権法改正 第4回 売買契約の解除」 (法学教室466号、2019年7月号・73頁)

解答例 第1 小問1 1 Aは、催告解除(541条)の意思表示によって甲の売買契約(以下「本件契約」という。)を解除することができる。 2 AはBと本件契約を締結している。本件契約に際し、Bの甲引渡債務(以下「本件債務」という。)の履行期は6月1日と合意し…

「ケースで考える債権法改正 第2回 錯誤」 (法学教室464号、2019年5月号・71頁)

第1 売買契約①について 1 AはBに対し、原状回復請求権に基づく金銭返還請求(121条の2)をすることが考えられる。 2 Aは、売買契約①は基礎事情錯誤(95条1項2号)があるとして、取消しの意思表示(120条2項)をすることが考えられる。 (1) Aは、主観では、…

「ケースで考える債権法改正 第3回 相殺——「前の原因」による相殺の拡張」(法学教室464号、2019年6月号・83頁)

解答例 第1 設問1 1 差押えの場合[1] (1) Bは、Aに対し、2020年3月1日に、弁済期を同年10月1日と合意して、150万円を貸し付けた。2020年10月1日は到来した。 また、Bはα1債権を受動債権、β1債権を自働債権として相殺する旨の意思表示をしている。 (…

「ケースで考える債権法改正 第1回 特定物売買と危険負担をめぐって」 (法学教室463号、2019年4月号・73頁)

解答例 第1 事例1① 1 AはBに対し、売買契約に基づく売買代金支払請求(555条)をすることが考えられる。 2 AはBに対し甲を200万円で売っている(以下、「本件契約」という。)。 3 これに対し、Bは、第1に、解除権の行使(542条1項1号、545条1項)によって…

平成23年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 本件不同意決定は「処分」にあたるか。 2 「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。 3 乙町モ…

平成24年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 実体違法 1 第1に、Aは、本件工事はCが会社を通さずに行ったものであり、「排水設備の新設等を行おうとする者」(乙市下水道条例(以下「本件条例」という。)9条)にあたらず、事実誤認という違法事由が認められる、と主張することが考えられる。…

平成25年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 景観法(以下「法」という。)16条1項1号は建築物の新築をしようとする者に同項列挙事項の届出義務を定めているにすぎず、この点に景観行政団体の長に拒否権限が認められていない。したがって、同条に基づくBの届出について、A市長の許…

平成26年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 実体法上の違い[1] (1) 占有許可申請を拒否する処分と理解する法律論の場合、許可要件を充たさない限り、不許可処分をすることが許される。 (2) これに対して、占有許可の撤回処分と理解する法律論の場合、許可処分という授益的処分…

平成27年度 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件指定は中間的行為であるが、法効果の直接性が認められず、「処分」にあたらないのではないか。 2 「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定…

平成28年 予備試験 行政法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件訴訟の係属中に営業停止期間が経過しているところ、Xは営業を再開することができるのであるから、もはや訴訟によって取消判決を得る必要性がなくなり、訴えの利益(行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)9条1項) を欠くかが問題と…

令和元年度(2020年度) 予備試験 商法 解答例

解答例 【解答例】 第1 設問1 1 第1に、Dは、取締役会の決議事項として予定されていなかったDの取締役からの解任を目的とする臨時株主総会の開催について本件取締役会で決議したことは、368条1項に反し無効であると主張することが考えられる。 (1) 取締…