解答例
1 Xが、殺意をもって、Aの頸部をロープで強く絞め、よって同人を死亡させた行為に殺人罪(199条)が成立する。
(1) Xの上記行為は、頸部という人体の枢要部を、ロープという人を窒息させるのに十分な凶器を用いて強く絞める方法によるものであるから、人の生命侵害惹起の危険性を有する「人を殺」す行為にあたる。
(2) Aは、Xの上記行為(以下、「第1行為」という。)によって直接死亡したものではなく、その後のXのAを林に放置する行為(以下、「第2行為」という。)によって窒息死したものであるが、なおXの第1行為との間に因果関係が認められる[3]。
ア 法的因果関係とは、当該結果発生を行為者に帰責できるかという問題であるところ、当該行為の危険性が結果へと現実化した場合に因果関係が認められると考える。
イ 本件では、確かにXの第2行為という介在事情が存在する。しかし、人を殺したと思った者がその死体を林の中に放置することは、自己の犯罪の発覚を防ごうとして行う行為として自然なものといえる。したがって、第2行為は、第1行為に誘発されたといえる。そして、
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