法律解釈の手筋

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京大ロー入試 平成30年度 民事訴訟法 解答例

解答例

第1 設問1 (以下、民事訴訟法は法名略)

 1 請求の趣旨によれば本件訴訟は債務不存在確認訴訟であるところ、確認の利益が認められず、不適法とならないか。

 (1)  確認の利益とは、確認の訴えによる本案判決を求める必要性をいう。確認の訴えでは、その対象が無限定になるところ、訴えを限定する必要がある。そこで、確認の利益は、原告の有する権利や法律上の地位に危険または不安が存在し、そうした危険や不安を除去するために確認判決を得ることが有効かつ適切な場合に認められる[1]と考える。また、債務不存在確認については先制攻撃的性格を有するため、確認の利益があるかどうかは限定的に考えるべきである[2]

 (2) 本件では、AがBに対し売買代金債務を負わない旨の確認であるところ、原告の法律上の地位は保護に値する。現在、AB間で当該売買代金債務を弁済したかどうかで争いが生じているため、かかるAの法律上の地位に危険または不安が存在している。

かかる法的地位は、Aの現在の法律上の確認を求めるものである。確かに、債務不存在確認であるため消極的確認訴訟であるが、Yにとっては積極的確認訴訟を提起できない以上、対象選択としては適切である。また、本件ではAからBに対し給付訴訟を提起することができない以上、方法選択としても適切である。そして、本件ではBは既にAに対し支払いを強く求めている以上、債務不存在確認訴訟の先制攻撃的性格を考慮してもなお確認判決を得ることが有効かつ適切といえる。

 (3) したがって、確認の利益が認められる。

 2 そうだとしても、本件債務不存在確認訴訟においては債務の上限が明示されていない以上、訴訟物の特定を欠き、133条1項に反し不適法である。これに対して、債務不存在確認の場合に債務の上限額を明示しなくても許されるとする見解[3]があるが、かかる見解もこのような例外的場合を不法行為事例に限定しているところ、本件のような売買代金が比較的明確となっている場合にまでこのような例外を認めるものではないと思われる。

 3 よって、Aの訴えは不適法である。

第2 設問2[4]

 1 口頭弁論とは、受訴裁判所の面前でそのための期日において当事者双方が対立する形で、口頭で本案の申立ないし攻撃防御方法の提出、その他の陳述をなすことをいう。

 2 判決をなすためには、原則として口頭弁論を開く必要がある(必要的口頭弁論 87条1項)。その趣旨は適正手続にある。

 3 口頭弁論は公開されて行われる必要がある(公開主義 憲法82条、民事訴訟法312条2項5号参照)。公開されたかどうかは調書によってのみ証明することができる(160条1項)。

 4 口頭弁論期日における弁論は、弁論でなされる必要がある(口頭主義)。もっとも、記憶保存の観点から、訴状等には書面を要求し(133条、286条、314条)、準備書面のお提出を規定する(161条)。

 5 口頭弁論は、その事件について判決する受訴裁判所が自ら行う必要がある(直接主義 249条1項)。

 6 裁判所は、必ず当事者の双方から弁論を聞き、証拠調べの申出を受けなければならない(双方審尋主義)。もっとも、当事者にとっては権利である以上、当事者には欠席する権利がある。

 7 口頭弁論の進行は裁判長に訴訟指揮権が与えられている(148条)。

 8 口頭弁論主義では適時提出主義が採用され(156条)、時期に後れた攻撃防御方法は却下され(157条1項)、釈明に応じない攻撃防御方法も却下される(157条2項)。争点・証拠整理手続後の新たな攻撃防御方法の提出は、相手方当事者が求める場合には、遅延した理由を説明しなければならない(167条)。

以上

 

[1] 最判昭和30年12月26日参照。

[2] 重点講義(上)382頁、LQ372頁参照

[3] 重点講義(下)・269頁参照。

[4] 本問については、高橋概論・130頁以下を主に参照している。