法律解釈の手筋

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【Bさん】平成31年度 東大ロー入試 民事系 再現答案【71.5点】

※こちらは、平成31年度の東大ロー入試を受験した私のTwitterのフォロワー様(そして東大ローで知り合いました!笑)の再現答案です。今後東大ローを受験される方の参考になれば幸いです。そして、再現答案を寄稿してくれたBさんには感謝しております。この場をお借りしてお礼申し上げます。以下の文章はBさんからいただいた文章を、手を加えず体裁のみを整えて記載しております。

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第1設問(1)(この設問について⺠法の法令名略)

1 P 社は本件賃貸借契約を解除することができるか。①まず、612 条2 項を理由とする解除は認められるか。②次に、債務不履⾏を理由とする解除ができるか。

⑴ ①について

612 条2 項に基づく解除が認められる前提として、Q 社の発⾏済株式総数の全部を有す

るB のR 社への株式譲渡が「譲り渡し」(612 条1 項)に当たるか。

ア 契約当事者確定の原理より法⼈が賃貸借契約の当事者である場合には、賃借⼈はあくまで当該法⼈であり、その法⼈の株主が変更したとしても原則「譲り渡し」には当たらない。もっとも、法⼈格の形骸化に当たる等の特段の事情がある場合には「譲り渡し」に当たる。

イ 本件不動産の賃貸借契約は賃借⼈をQ 社としてP 社との間で締結されている。したがって、100 パーセント株主たるB がその株式を全てR 社に譲渡したことは原則「譲り渡し」に該当しない。では、法⼈格の形骸化等の特段の事情が認められ、そもそも本件不動産の賃貸借契約における賃借⼈はB であり、R 社への株式譲渡は「譲り渡し」に該当するといえるか。確かに、B は100 パーセント株主であり、株式会社の実質的所有者は株主であることに照らせば、B とQ 社は同⼀視できるように思える。しかし、Q 社はP 社と共同事業計画を営めるほど法⼈としての実態を有していたこと、及び、B がQ 社の賃料債務を連帯保証していることからすれば、B とQ 社は客観的に明確に区別されているといえる。したがって、法⼈格の形骸化に当たるような特段の事情はなく、本件株式譲渡は「譲り渡し」に当たらない。

ウ 以上より、P 社は612 条2 項を理由に本件不動産の賃貸借契約の解除はできない。

⑵ ②について

次に、いわゆる信頼関係の破壊の法理を適⽤し、債務不履⾏を理由とする解除は認められ

るか。信頼関係破壊の法理が債務不履⾏原因をなすかが問題となる。

ア 結論から⾔うと、背信⾏為たりうる特段の事情の存在に加え、そのほかの契約義務履⾏違反がある場合には、債務不履⾏原因を構成し解除が認められる。賃貸⼈の賃借⼈が契約⽬的に照らして使⽤収益することの期待を保護することと、信頼関係破壊という⼀事をもって予期せず使⽤収益をなす権利が剥奪されるという点で賃借⼈を保護することとの調和を図るべきだからである。なお、この場合、⽴証責任は賃貸⼈側が負う。

イ まず、信頼関係破壊の法理が適⽤できるか。Q 社の使⽤収益形態に背信⾏為⾜りうる特段の事情があるかを検討する。確かに、形式的にみれば本件債権譲渡の前後で商品を販売するという使⽤収益形態に変化はなく、上記特段の事情はないように思える。しかし、Q 社はR 社の製品を販売し始めたこと、R 社はP 社とのライバル関係にあり、実際P 社の売り上げは著しく減少していることに照らせば、P 社の犠牲のもとQ 社R 社が利潤を得ており、本件賃貸借契約がP 社とQ 社の共同事業計画の⼀環であることから、債権譲渡後の使⽤収益は背信⾏為⾜りうる特段の事情にあたる。

次に、その他の契約履⾏義務違反があるかを検討する。P 社とQ 社は共同事業を営んでいた。とすれば、Q 社はP 社を不当に害さずに共同事業に協⼒する義務があるところ、本件不動産を⽤いてR 社の製品を販売したことは、かかる義務違反に該当する。したがって、Q 社に協⼒義務違反を理由とする契約履⾏義務違反が認められる。

ウ 以上よりQ 社に背信⾏為⾜りうる特段の事情、及び、契約義務違反が認められるから債務不履⾏原因を構成し、P 社は債務不履⾏を理由に解除することができる。

第2 設問2(ア)

1 本件訴えは適法か。P 社は法⼈である故、原告適格が認められるところ(⺠訴28 条・⺠法34 条)、P 社の代表取締役A に適法な訴訟追⾏権限が認められるか問題となる。

2 代表取締役は裁判内外を問わず代表権を有する(会社349 条4 項)が、訴訟リスクがもたらす影響に鑑みて、これを以て直ちに適法な訴訟追⾏権限と解することはできない。個別具体的な訴訟代理兼授与の決議が必要である。

これを本件についてみるところ、被告⼈B を除いた全ての取締役の賛成に基づいてA に訴訟追⾏権限が与えられている。取締役が実質会社の運営者、かつ、経営のプロであることから、P 社の訴訟リスクを鑑みた適法な訴訟追⾏権限が授与されたと評価できる。以上より、本件訴えは適法である。

第3 設問2(イ)

1 前述同様、適法な訴訟追⾏権限がE にあるか、検討する。

2 前述と同様に考える。確かに、E は監査役であり、P 社の経営の監査を厳格にチェックする必要があるが、本件ではE 以外の会社経営陣及び監査役が全て否定している以上、適法な訴訟追⾏権限は認められない。以上より、本件訴えは不適法却下すべきである。

第4 設問(3)

1 まず、共同訴訟参加(⺠訴52 条1 項)がP 社株主に認められるか。共同訴訟参加の要件である原告適格が認められるかが問題となる。原告適格の有無は管理処分権限の有無で決する。確かに、取締役が会社との間で⽣じた取引債務も株主代表訴訟の対象になるから、P社株主もB に対する連帯保証債務の管理処分権限を有するように思える。しかし、本件では既にP 社が適法に提起している以上、株主代表訴訟を認める必要性がない。P 社株主に本件訴訟の管理処分権限が認められず、原告適格を満たさないため、共同訴訟参加はできない。

2 次に、P 社株主は本件訴えに補助参加(⺠訴42 条)できるか。「利害関係」とは法律上の利害関係を指す。具体的には公法上または私法上の権利義務または法的地位に影響をもたらすおそれが認められるものをいう。P 社株主が本件訴えによって得る利益はB がP 社に連帯保証債務を履⾏することで会社資本が充実することによる株価の上昇等が考えられる。

しかし、これは反射的利益にしか過ぎず、事実上の利害関係しか認められない。したがって、P 社株主は法律上の利害関係が認められず、補助参加も認められない。

以上

 

 

〈感想〉

設問1は⺠法百選Ⅱ(第7版)60(最判平成8 年10 ⽉14 ⽇)をベースに論証した。詳しくは、その解説を読んでみて。割と⾃信を持ってかけた。(この時点で2 枚⽬の5⾏⽬くらいだった気がする。)

設問2は何を問いたいのかわからなかった。そもそも会社法?⺠訴法?って感じだった。(2枚⽬の22⾏⽬くらい)

設問3はとりあえず、取引債務包含説について書こうと思った。結論の妥当性はわからないが、⾃分なりに当てはめた。⾃信はない。(最後の⾏まで書いた。最後の⾏は少しだけ、マス⽬を無視した)