法律解釈の手筋

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【Bさん】平成31年度 東大ロー入試 刑事系 再現答案【81点】

※こちらは、平成31年度の東大ロー入試を受験した私のTwitterのフォロワー様(そして東大ローで知り合いました!笑)の再現答案です。今後東大ローを受験される方の参考になれば幸いです。そして、再現答案を寄稿してくれたBさんには感謝しております。この場をお借りしてお礼申し上げます。以下の文章はBさんからいただいた文章を、手を加えず体裁のみを整えて記載しております。

 

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1.再現答案

第1 設問1(この設問につき刑法の法令名を省略)

1 Yの罪責について

YがAのバイクを取った⾏為について、窃盗罪(刑法[以下略]235 条)の共同正犯(60条)が成⽴するか。

⑴ 共同正犯の処罰根拠は互いに因果的寄与を及ぼし、結果を共同惹起する点にある。とすれば、その成⽴要件は①共謀と②①に基づく実⾏⾏為である。

ア ①は正犯意思と意思連絡を意味する。Y はX の命令に背いた場合の制裁を逃れるために犯罪意思を形成したにすぎず、幇助犯(62 条)が成⽴するにすぎないのではないか。共同正犯の区別が問題となる。この点については、正犯意思、すなわち特定の犯罪を⾃⼰の犯罪として実現させる意思の有無で決する。確かに、Yが所属する甲はリーダーXの命令に絶対服従しなければならず、命令に従わない場合に制裁を受ける団体の性質上、X と上限関係が認められる。したがって、Yは⾃⼰のみを保全するためX の命令を遂⾏する意思しかないように思える。しかし、Yは本件犯罪事実の実⾏⾏為部分の全てを担っているから、重要な役割を担当しており、本件犯罪に不可⽋な存在であった。とすれば、Yは窃盗罪を⾃⼰の犯罪として実現させる意思が認められる。正犯意思を有する。また、Xとの間で事前謀議が認められるから、意思連絡もある。①を充⾜する。

イ ②を検討する。「窃取」とは他⼈の占有物を、占有者の意思に反して、占有を侵害し⾃⼰または第三者の実⼒的⽀配下に置くことをいうところ、本件バイクにAの占有が認められるか、占有の有無が問題となる

占有とは事実上の⽀配を意味する。具体的には占有意思と⽀配事実を総合的に考慮し、社会通念に従って判断する。本件バイクは空き地というAの排他的⽀配が及ばない空間に存在していたため、⽀配事実は弱い。もっとも、Aは従来当該空き地を本件バイクの駐輪場として利⽤しており、前輪にもチェーンロックをしていることから、占有意思は強く認められる。これらを総合的に考慮した結果、本件バイクは社会通念上Aの事実上の⽀配下にある。A の本件バイクの占有が認められる。したがって、Yの⾏為は占有侵害⾏為といえ「窃取」にあたる。故意(38 条1 項本⽂)、不法領得の意思にかけるところはない。②を充⾜する。

⑵ もっとも、後述の通りYは器物損壊罪の故意しかない。いかなる限度でYとの間で共同正犯となるか。

構成要件的に重なり合いが認められる限度にて共同正犯が成⽴する。具体的には、⾏為態様と法益侵害に着⽬して判断する。両罪はともに占有侵害を伴う⾏為であるから、⾏為態様の点で共通している。また、財産的侵害をともに発⽣させるため、法益侵害の点でも共通する。したがって、Yは器物損壊罪の限度で、共同正犯が成⽴し、窃盗罪の単独犯が別途成⽴する。前者は後者に吸収され、Yは窃盗罪の単独正犯が成⽴する。

2 Xの罪責について

1 まず、Xは窃盗罪の故意がないため、Yとの間で窃盗罪の共同正犯は成⽴しない。

2 次に、器物損壊罪の共同正犯が成⽴するか。

⑴ 前述同様、共同正犯の成⽴要件は①②に基づいて判断する。X は⽇頃憎んでいたA に恨みを晴らすため、当該⽬的を知らない⼦分のY を利⽤してバイクを盗ませている。したがって、X に利益享受意思が認められるから、同罪を⾃⼰の犯罪として実現させる意思、正犯意思が認められる。意思連絡は前述から認められる。①を充⾜する。

⑵ ②について検討する。X はY の⾏為によって、A にバイクを使⽤させない状態を作出しており、これはバイクの効⽤を減少させる⾏為といえ、「損壊」に該当する。②を充⾜する。

⑶ よって、前述よりX はY との間で器物損壊罪の共同正犯が成⽴する。

第2 設問2(この設問につき刑事訴訟法の法令名を省略)

1 本件供述録取書は「公判期⽇に代えて書⾯」(以下伝聞証拠とする。320 条1項)にあたり、原則として証拠能⼒が否定されないか。伝聞証拠の意義が問題となる。

⑴ 伝聞法則の趣旨は、供述証拠は⼈の知覚、記憶、表現、叙述の各過程が存在し、これに誤りが⽣じるおそれがあるにもかかわらず、伝聞証拠は反対尋問等による内容の真実性の担保がなされないから、誤判を防⽌すべく、証拠能⼒を事前に否定した点にある。とすれば、伝聞証拠とは①公判廷がにおける供述を内容とする証拠で、②要証事実との関係で内容の真実性が問題となるものをいうと解するべきである。

⑵ 本件調書は公判廷外で検察官が作成したものである(①充⾜)。本件の争点はXY 間の共謀である。事前謀議は共謀の間接事実であり、本件調書はXY 間の事前謀議の内容を推認することができるから、事前謀議に基づいて共謀を推認することができる。したがって、要証事実は共謀の存在であり、本件調書の内容の真実性が問題となる(②充⾜)。

⑶ では、321 条以下の伝聞例外として例外的に証拠能⼒が認められないか。まず、被告⼈X:は本件調書の証拠調べ請求に「同意」(326 条1項)していないところ、同条の適⽤はできない。では、321 条1項2号に該当しないか。

ア 「相反…供述」(321 条1項2号後段)とは犯罪事実の存否を覆すものをいう、共謀の存在は共同正犯の構成要件であるから、犯罪事実の存否を覆すものといえ「相反…供述」にあたる。

イ 「特信」性とは、いわゆる相対的特信状況を意味する。具体的には、外部的付随的状況に照らし特信性を判断し、補助的に供述内容を加味してその有無を決する。公判廷におけるWの状況は、⾃⼰が所属する団体のリーダーX の公判廷であること、かつ、Wが述べる内容がXの犯罪の成否に関わること、仮に検察官の⾯前でしたものと同内容の供述をした場合、前述した甲の団体の性質上、その他の構成員から報復を受ける蓋然性が⾼いことに照らせば、Wの公判廷の供述の信⽤性は低い。⼀⽅で、Wは正義と公平を実現する検察官の前で⾝の安全が確保された状況でした供述の信⽤性は⾼い。補助的に供述内容を⽐較しても、前者より後者の⽅が詳細かつ明確である。以上より、本件調書に相対的「特信」状況が認められる。同号によって例外的に証拠能⼒が付与される。

以上

 

 

2.感想

1刑法は個⼈的にここ10 年で⼀番難しいと感じたし、不法了得の意思という典型論点を落としたことに終わった瞬間に気づいて死にたくなった。(2 枚⽬10⾏⽬くらい?たぶん)

2刑訴は、⾮伝聞じゃね?と思いつつも、公判に特信性を認定してほしそうな事情がたくさんあったので、何としても伝聞性を認めたいと思い、よくわからない認定をしてしまった。

反省している。(最後の⾏まで)