法律解釈の手筋

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令和6年度(2024年度) 慶應ロー入試 刑事訴訟法 解答例

解答例

第1 設問1

1 小問1

訴因とは「罪となるべき事実」の記載であり、裁判所の審判対象を当事者たる検察官の主張する事実に限定・拘束するものであるところ、かかる事実に重要な変更が生じた場合には、訴因変更手続を要すると考える。そして、訴因の機能は、第1次的には審判対象画定機能にあり、その反射的利益として被告人の防御機能がある。

そこで、審判対象の画定に必要不可欠な事実に変更が生じた場合には訴因変更を要すると考える。また、審理全体を通じて要請される争点明確化による被告人への不意打ち防止の要請という観点から、被告人の防御にとって重要な事項についても、訴因に明示された場合には、原則として訴因変更手続を要すると考える。もっとも、具体的審理経過に鑑みて、被告人に不意打ちを与えるものでないと認められ、かつ、判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には、例外的に訴因変更手続を要しないと考える[1]

2 小問2

本件公訴事実は嘱託殺人(刑法202条)であるのに対して、裁判所は殺人罪(同法199条)を認定しようとしており、

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