法律解釈の手筋

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令和5年度 司法試験 商法 解答例

解答例

第1 設問1小問1(以下、会社法は法名略。)

1 まず、Gは、本件売買契約が間接取引(356条1項3号)に該当し、任務懈怠が推定される(423条3項1号)、と主張することが考えられる。これに対して、Aは、本件売買契約は間接取引に該当しないため、推定規定は適用されないと反論することが考えられる。

(1) 間接取引とは、会社が取締役以外の第三者と行う取引で、会社と取締役の利益が相反する取引をいう。同条の趣旨は、会社の利益の犠牲の下に取締役が自己の利益を優先することを防止する点にある。そこで、利益が相反するかどうかについては、当該取締役の関与の程度から、当該取締役と会社の利益が実質的に相反するか否かによって決する。もっとも、実質的な利益衝突は様々なものがあり、すべてを間接取引と解するとすれば、取締役や取引相手方の予測可能性を害する。そこで、実質的な利益相反かどうかは、外形的・客観的に明らかであるものかどうかによって決すると考える[1]

(2) 本件では、Aの住居に隣接する土地である本件土地について、その所有者Eとの間でトラブルとなり、Eから本件土地を買い取るよう要求されるようになった。Aは平穏に暮らすためにEの要求に応じることとなった、とのことである。そうだとすれば、Aとしては本件土地を多少高額でも購入する利益があり、会社との利益が相反するため、間接取引に該当するとも思える。しかし、かかる事情は本件売買契約の客観的な内容からは認識することができない。そして、外形的には、本件売買契約は、甲社と第三者Aとの間で本件土地を売買したにすぎないのであるから、取締役Aと利益が相反するものとはいえない。

(3) したがって、Aの反論が認められ、本件売買契約は間接取引に該当しない。

2 次に、Gは、本件売買契約が間接取引にあたらないとしても、本件土地を相場よりも4000万円も高く購入したことには善管注意義務違反が認められるため、任務懈怠が認められると主張することが考えられる。これに対して、Aは、本件売買契約の締結及び内容は経営判断の問題なのであるから、その判断が著しく不合理な場合に限って善管注意義務に違反し、相場よりも高額で購入したことが直ちに善管注意義務違反にはならない、と反論することが考えられる。

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