法律解釈の手筋

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令和7年度(2025年度) 慶應ロー 刑法 解答例

解答例

第1 問題1(以下、法名は略)

1 甲の罪責

甲が、金品奪取の目的で、「死にたくなかったら言うことを聞け」と申し向け、A宅にあった粘着テープでAの身体を緊縛するというAの反抗を抑圧するに足りる「脅迫」および「暴行」を加えてAの反抗を抑圧し、現金300万円を「強取」した行為に強盗罪(236条1項)が成立する。なお、甲及び丙と窃盗罪の限度で共同正犯となる。甲は、かかる罪責を負う。

2 乙の罪責

(1) 乙が、甲と「共同」してした上記1(1)の行為に、窃盗罪の限度で共同正犯(60条、235条1項)が成立する。

(2) 乙は、強盗罪(236条1項)の共同正犯の客観的構成要件を充足する。

ア 一部実行全部責任の根拠は、各行為者が作業分担を通じて、犯罪実現のために本質的な役割ないし重要な寄与を果たした点にある。そこで、共同正犯が成立するには、①共謀②共謀に基づく実行行為が必要であると考える。

イ ①共謀

本件では、甲乙は、A宅に侵入し現金を盗む計画を立てており、甲乙間に意思連絡がある。乙はA宅の見取り図を用意するという重要な役割を行っている上、分け前として盗んだ金の3分の1をもらおうとしており、自己の犯罪として遂行する正犯意思が認められる。したがって、甲乙間に、Aに対する窃盗罪の共同遂行合意たる共謀が認められる(①充足)。

ウ ②共謀に基づく実行行為

共謀に基づく実行行為といえるためには、共謀に内在する危険性が実行行為へと現実化したことが必要である。本件では、

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