法律解釈の手筋

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慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 商法 解答例

解答例

第1 設問1

 1 事前の措置について

 (1) 株主であるXは、303条1項に基づき、Y社に対して「取締役の選任」について株主総会の目的とし、かつ、自己を取締役候補者に挙げることを請求することが考えられる。

 (2) XはY社株式を80万株有しており、Y社発行株式2000万株のうち、100分の4を有しているため、「100分の1」(同条2項)以上の議決権を有している。また、Xは平成20年から同株式を保有しており、「6か月」前から株式を保有している株主である。

 (3) したがって、Xは株主総会の日の「八週間」前までに、かかる請求をすれば、その請求は認められる。

 2 事後の措置について

  本件株主総会では、既に取締役の選任が総会の目的としてとりあげられている。そこで、Xは、304条2項に基づき、株主総会の当日に、自己を取締役の候補者とする旨の議案を提出することができる。

第2 設問2

 1 Zは831条1項に基づき、株主総会取消しの訴えを提起することが考えられる。

 2 本件では、議長Aが株主Zの発言をさえぎり、決議を採っているところ、かかる行為が314条に反し、「決議の方法」が「法令」に「違反」していたといえないか(同項1号)。

 (1) 株主Zの本件発言は、Y社の経営の効率性について取締役Aに意見を尋ねることによって、Aの経営者としての資質を確認する意図でなされた質問であるといえる。本件総会では、Aの取締役の選任が議案となっていたところ、Zのかかる質問は、Aが取締役にふさわしいかを確認するのに重要な質問であった。

    したがって、取締役には、かかる質問についての説明義務が生じていたといえる。

 (2) それでは、取締役は「必要な」説明をしたといえるか。

   ア 同条の趣旨は、総会の議案について、株主が適切な情報を下に合理的な判断を下せるように、手続の面からそれを保障したものである。

     そこで、「必要な」説明といえるためには、平均的な株主が、議題を合理的に理解・判断し得る程度の説明が必要と考える。

   イ 本件では、取締役Aは「経営の状況につきましては、事業報告に記載してあるとおりです」と述べるのみであり、株主Zが求めていた、Aの経営の効率性についての意見を聞くという意図の質問には、何一つ答えていない。また、Aのそのような意見は事業報告をみても分かるわけではない以上、Aが事業報告に記載してあるとのみ述べただけでは不十分な回答である。以上にかんがみれば、平均的な株主にとって、取締役Aの経営の効率性についての考えを適切に理解することはできず、Aが取締役にふさわしいかの合理的な判断はなしえない。

   ウ したがって、取締役は「必要な」説明をしていない。

 (3) よって、本件総会には314条違反が認められ、「決議の方法」に「法令」「違反」していたといえる。

 3 以上より、Y社「株主」であるZは、本件総会の「三箇月」以内に本件訴えを提起すれば、その請求が認められる。

以上