法律解釈の手筋

再現答案、参考答案、法律の解釈etc…徒然とUPしていくブログ… ※コメントや質問はTwitterまで!

慶應ロー入試過去問 解答例

慶應ロー入試 令和元年度(2019年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件取締役会決議は、Xへの招集通知を欠くため、368条1項に反し、無効とならないか。 2 取締役会は、取締役会の権限行使を慎重かつ適切ならしめるために合議体をなしており、招集通知はそのような合議体への出席の機会を確保する重要な…

慶應ロー入試 令和元年度(2019年度) 刑法 解答例

解答例 第1 問題1 (以下、刑法は法名略。) 1 事例① 199条[1] 2 事例② 240条後段、236条2項[2] 3 事例③ 252条1項[3] 4 事例④ 60条、65条1項、252条1項[4] 5 事例⑤ 235条 第2 問題2 1 XがAのバッグ(以下「本件バッグ」という。)を取り上げて立ち去った…

慶應ロー入試 令和元年度(2019年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所がBによる売買代金の弁済の事実を認定してXの請求を棄却することは、弁論主義第1テーゼに反し許されないのではないか。 2 弁論主義とは、判決の基礎をなす事実の確定に必要な資料の提出を当事者の権能および責任とする建前をいう…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 憲法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 訴訟提起の方法 Xは、A市が葬儀会場としてA市民公民館を無料で使用させた行為に、地方自治法242条の2第1項3号に基づく違法確認訴訟を、葬儀委員会に対して補助金100万円を支出した行為に、同条1項4号に基づく損害賠償代位請求訴訟を…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 憲法 解答例

解答例 第1 設問1 1 第1に、本件条例はXのB岳へ登る自由を侵害し、憲法13条に反して違憲無効であるところ、かかる無効な条例に基づいてなされた本件過料処分も違法であると主張する。 (1) 山へ登る自由というのは、山へ登ることによって自己の身体の…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 憲法 解答例

解答例 第1 A県立大学の、入学試験において一定程度女性を優遇する改革は、男性受験生と女性受験生を不当に差別するものであり、憲法14条1項に反し違憲ではないか。 1 まず、パターン1とパターン3は、男性受験生に比して女性受験生を優遇する点で、別異取…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 憲法 解答例

解答例 1 スポンサー適正表示法(以下「法」という。)4条は、事業者のPPやPIといった営利的表現の自由を侵害し、憲法21条1項に反し違憲ではないか。 (1) PPやPIという手法はいわゆる営利的表現であるが、かかる表現に憲法21条1項の保障が及ぶか。 ア 表現の…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 憲法 解答例

解答例 1 Dによる不許可処分は、Xの取材の自由を侵害し、憲法21条1項、刑事収容施設及び被収容者の処遇に関する法律(以下、「法」という。)114条1項に反する。 2 取材の自由は、憲法21条1項によって保障される報道の自由の不可欠の前提を成すものであり、…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 問題1 (以下、刑事訴訟法は法名略。) 1 小問1について 被疑者段階において検察官の請求により勾留された者が、同一の犯罪事実で交流機関に起訴された場合には、起訴と同時にそれまでの被疑者勾留が被告人勾留に切り替わり、特別の手続なしに被告…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 (以下、刑事訴訟法は法名略。)[1] 1 現行犯逮捕(憲法33条、刑訴法213条・212条1項2項)は令状なくして逮捕できる。通常逮捕における令状主義の趣旨は、あらかじめ令状裁判官に逮捕の理由・必要性を審査させることにより、被疑者の人権を保…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 捜査① 1 本件捜査は「強制の処分」(強制処分)(197条1項但し書)にあたるか。もし強制処分にあたるのならば、強制処分法定主義若しくは令状主義(憲法33条、35条)に反する。そこで、強制処分の意義が問題となる。 (1) 現代の捜査技術の発達にかんが…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1](以下、刑事訴訟法は法名略。) 1 下線部①の令状は、以下に見るように概括的記載が用いられており、令状の明示を要請した憲法35条、刑事訴訟法219条1項に反し許されないのではないか。 2 そもそも令状の特定が要求される趣旨は、あらか…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 刑事訴訟法 解答例

解答例 第1 下線部①の適法性 1 まず、乙は同日午後6時時頃に起きたひったくり事件の犯人と身体的特徴が類似しており、「何らかの犯罪を犯し」ていると「疑うに足りる相当な理由」があるといえ、下線部①の声をかける行為は、警察官職務執行法(以下「警職法」…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 刑法 解答例

解答例 第1 設問1 1 ZがAの上着の内ポケットから名刺入れをすり取り、自分のかばんに入れた行為に、窃盗罪(235条)が成立しないか。 (1) 名刺入れはAたる「他人の財物』にあたる。 (2) 本件行為が「窃取」あたるか。 ア 「窃取」とは、占有者の意思に反…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 刑法 解答例

解答例 1 甲がAをワインボトルで殴って死亡させた行為に、傷害致死罪(205条)が成立しないか。 (1) 甲はAという「人」の後頭部という致命傷になり得る部位を、ワインボトルという重くて硬い凶器で振り下ろして殴っているところ、重力及び遠心力も加わりかな…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 刑法 解答例

解答例 第1 丙の罪責 1 丙がVに対し、殺意を持ってA宅に放置し殺した行為に殺人罪(199条)が成立するか。 (1) 丙の上記行為に殺人罪の実行行為性が認められるか。丙の上記行為は行為者に期待された行為をしないいわゆる不作為であるところ、不作為に実行行…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 刑法 解答例

解答例 第1 Yの罪責 1 YがXと共謀の上、Aに暴行を加え、バッグからAの財布を持ち出した行為に、強盗罪の共同正犯(60条、236条)が成立するか。 (1) 共同正犯の客観的構成要件を充足するか。 ア 60条の一部実行全部責任の処罰根拠は、各犯罪者が共同してそ…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 刑法 解答例

解答例 1 甲が売店から新聞を手に取りそのまま売店から遠ざかった行為に窃盗罪(235条)が成立する。 (1) 新聞は売店たる「他人の財物」にあたる。 (2) 「窃取」とは、占有者の意思に反して、他人の財物を自己または第三者の占有に移転する行為をいうところ…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 第1に、後訴に前訴既判力が作用し、裁判所は拘束されないか。 (1) 既判力とは、確定された判決の主文に表された判断の通有性[1]をいう。その趣旨は紛争解決の一回的解決という制度的要請にあり、正当化根拠は手続保障充足に基づく自己…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所が、Xの申し立てよりも低い150万円の立退料と引き換えに当該建物明け渡しの認容判決をしたことが、処分権主義(246条)に反し、許されないのではないか。 2 処分権主義とは、訴訟の開始、審判対象の特定、訴訟の終了について当事…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1[1] 1 本件では、入院治療費について、裁判所は、Xが申し立てた100万円を超えて、150万円と認定しているところ、処分権主義(246条)に反するのではないか。 (1) そもそも、不法行為における訴訟物の範囲はどこまでか。入院治療費と慰謝料…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 裁判所は、Aによる不当な妨害があったかどうかについて、真偽不明の状態にある。このような場合に、裁判所は不当な妨害があったと認定すべきか。証明責任の分配基準が問題となる。 2 証明責任とは、裁判所が、ある要件事実について真…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 民事訴訟法 解答例

解答例 第1 設問1 1 「Aが甲土地の所有者であったことは認める」との部分 (1) かかる主張が、「裁判所において自白した事実」(179条)にあたり、不要証効が認められるか。 ア 不要証効の認められる「自白」とは、当事者に争いのない「事実」をいう。そし…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 商法 解答例

解答例 第1 問1 (以下、会社法は法名略。) 1 Yは、423条に基づき、甲社に対して損害賠償責任を負わないか。 2 Yは「株式会社」である甲社の「取締役」である。 3 Yは「任務を怠った」(任務懈怠)といえるか。 (1) 取締役は、会社に対して、委任契約に基…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 株式譲渡の譲渡は本来自由であり、当事者間で有効とするだけであれば、第三者の利益を害することもないため、当事者間では有効と考える。 2 それでは、本件株式譲渡は、会社との関係でも有効か。 (1) 取締役会設置会社における譲渡…

慶應ロー入試 平成28年度(2016年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 本件貸付けの効力 本件貸付は直接取引(会社法(以下法名略)356条1項2号)にあたるにもかかわらず、Yが取締役会の決議を経なかったことを理由に、本件貸付けが無効とならないか。 (1) 本件貸付けが直接取引にあたるか。 ア 直接取引…

慶應ロー入試 平成27年度(2015年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 事前の措置について (1) 株主であるXは、303条1項に基づき、Y社に対して「取締役の選任」について株主総会の目的とし、かつ、自己を取締役候補者に挙げることを請求することが考えられる。 (2) XはY社株式を80万株有しており、Y社発…

慶應ロー入試 平成26年度(2014年度) 商法 解答例

解答例 第1 設問1 1 平成25年7月1日に開催された甲社取締役会(以下「本件役会」という。)は、Aが取締役Cに対して招集通知を発していないところ、かかる点が368条1項に反し違法であるとして、本件役会が無効とならないか。 (1) 株主総会を開催するには…

慶應ロー入試 平成30年度(2018年度) 民法 解答例

解答例 第1 表見代理(110条)の適用 1 Yは本件貸付に表見代理が成立し、有効であることを根拠に、満期保険金300万円の返還債務と200万円の返還債務との相殺(505条1項)が認められると主張する。 2 まず、本件貸付では、A自らXの印鑑を利用してXの委任状を作…

慶應ロー入試 平成29年度(2017年度) 民法 解答例

解答例 第1 設問1 1 XはY及びZに対して抵当権(369条1項)に基づいて物上代位(372条・304条1項)を行使して、2016年9月分の賃料支払請求をすることが考えられる。 (1) Xは2016年7月15日にAに対し2億円の融資をしており、かかる債権を被保全債権として同日に…